2022 Fiscal Year Research-status Report
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22K17302
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
小山 哲秀 新潟大学, 医歯学系, 助教 (90622209)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 移動式PCR検査 / 新型コロナウイルス / 定量PCR |
Outline of Annual Research Achievements |
必要な時にPCR検査を実施できる迅速検査室システムの構築を行う。コロナ禍における感染症対策は進んでいるが、①地方における問題点として、遠隔地や島内におけるクラスターの発生による急激な検査数の増加に対処が出来ないこと、②震災大国日本における避難所等の“検査体制”に関しては具体的な方策が無い。本研究では、高性能小型PCR装置をはじめとする最新機器を利用した“ヒトと機器が移動するPCR検査所の設置”というコンパクト且つ迅速な検査室の実現を目指す。 2022年度はシステムの確立と実運用の検証を行った。まず持ち運び可能なシステムの構築をするために機器の選定を進めた。PCR装置は持ち運びに適していたBMS社MIC qPCR cyclerと、既存機器であるThermo Fishier Scientific社QuantStudio5の比較検討を実施し、ほぼ同等の精度であることが確認された。RNAの抽出に関しては、A4用紙程度の大きさであるGENOLUTION社のNextractor NX-48と用手法の比較検討を行い、こちらも同等の精度であることが確認された。これら機器を用いて、新潟県佐渡市で発生した特別養護老人ホームでのクラスター対策において新潟県の了承を得た上で出張検査を実施した。事前に行われた抗原検査において全対象者が陰性であったが、PCR検査によって2名の陽性者を確認した。本検討によって、早期感染におけるクラスター対策には、抗原検査のすり抜けを防止する面において、一定の効果があることが示された。また、地理的に検査が十分に行うことができない地域において、出張PCR検査は、行政とコミュニケーションを取れることで、速やかな方針決定をする一助になると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り、希望先に出向いてのPCR検査をするべく、一般的な検査室と同等のシステムの構築をすることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
災害時における迅速PCR検査が可能となる検査体制を構築することを目標に作業を進める。具体的には、電源問題、試薬問題、検査項目問題をクリアすべく検討を進める。電源問題は、いかに小型で持ち運びが可能な点はもちろんのこと、精密分析であるqPCRに影響を与えない電源装置を利用するか検討を行う。試薬問題については、核酸抽出装置を必要としない、検体を直接PCRすることが可能である試薬の検討を行う。検査項目に関しては、季節性インフルエンザに代表されるような季節に応じた検査セットの構築を目指して検討を行う。
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