2022 Fiscal Year Research-status Report
Development of primary care clinical genetics: developing and assessing the clinical utility of a Japanese version of cancer risk assessment system in primary care (JCRAS-PC)
Project/Area Number |
22K17326
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
鳴本 敬一郎 浜松医科大学, 医学部, 特任准教授 (90647603)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 臨床遺伝 / 遺伝性腫瘍 / プライマリ・ケア / がんのリスク評価 |
Outline of Annual Research Achievements |
遺伝性腫瘍の中で最も頻度が高いとされる遺伝性乳癌卵巣癌症候群(HBOC)とリンチ症候群(LS)に対して、既往歴と家族歴に基づいてがんのリスクを評価するシステム「Japanese version of Cancer Risk Assessment System in Primary Care (JCRAS-PC)」を開発した。まずHBOCとLSに関する国内外の計12のガイドラインから遺伝専門職への紹介あるいは遺伝学的検査が提案される基準項目(計155項目)を抽出した。次いで、基準項目それぞれについて、遺伝専門職、産婦人科専門医、乳腺外科専門医、プライマリ・ケア医からなる研究チームでディスカッションを繰り返し、本邦のプライマリ・ケアおよび各専門領域の医療現場に沿った基準項目(計52項目)を決定した。これらを基に、オンラインで使用できるJCRAS-PCを開発し、患者本人を含めた第3度近親者までのがんの既往歴(前述した計11の関連がん)と診断された年齢を入力することで、容易に家系図が作成され、同時にその既往歴と家族歴が遺伝専門職への紹介基準に該当するかを瞬時に判定できるようになった。また、患者とのコミュニケーションにおいて参考にできるように、遺伝性腫瘍、HBOCおよびLSに関するファクトシートや説明例文集、一般的ながん検診の推奨項目と対比して確認できるHBOC/LSのサーベイランス方法、学習リソースのリスト、最寄りの遺伝専門職の検索サイトへのリンクを具備させた。さらに、JCRAS-PCの特徴の一つとして、プライマリ・ケアと遺伝専門職とのコミュニケーション促進を目的として、該当する家族図が自動的に添付される遺伝専門職へのメール相談機能も導入した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の計画では、2022年12月末にJCRAS-PC完成を目指していたが、リスク判定のアルゴリズムにおいて基準項目が適正に反映されているかどうかの確認および修正に時間を要した。2023年4月にJCRAS-PCは完成したが、そのvalidationについて検証する必要があるため、有用性の検証をおこなうパイロットスタディの開始が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
JCRAS-PCのプロトタイプに対する妥当性の評価、既存のリスク評価ツールのアウトカムに関するレビュー、有用性検証を目的としたパイロットスタディの倫理委員会での評価について、タイムラインを再設定する。また、研究チームの定期ミーティングと学術的な場での成果発表もタイムラインに組み入れることで研究推進をおこなう。
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Causes of Carryover |
JCRAS-PCのリスク判定のアルゴリズムにおいて基準項目が適正に反映されているかどうかの確認および修正に時間を要したため、JCRAS-PCの納品時期が遅れた。その結果、次年度使用額が生じている。 次年度は本研究2年目となり、JCRAS-PCの妥当性および有用性評価をおこなう予定としている。まず、初年度の成果発表として2023年5月に開催される第14回日本プライマリ・ケア連合学会学術大会にて口頭発表が予定されており、その参加費用として使用する。次に、JCRAS-PCプロトタイプの妥当性評価において、システムのバージョンアップが必要と判断される場合にシステムの修正費用として使用する。また、有用性を検証するパイロットスタディにおいて、そのプロトコールの論文作成および出版費用として、また検証において必要な統計解析ソフトの購入や研究参加者への謝礼に必要な費用として使用することを予定としている。
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Research Products
(1 results)