2022 Fiscal Year Research-status Report
複数のリアルワールドデータを用いて制吐薬の適正使用に関する実態を評価できるのか
Project/Area Number |
22K17335
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Research Institution | Kyoto Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
豕瀬 諒 京都薬科大学, 薬学部, 助教 (10868152)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 制吐薬 / 支持療法 / リアルワールドデータ / 悪心 / 嘔吐 / 販売量 / NDBオープンデータ / 保険請求情報 |
Outline of Annual Research Achievements |
がんは、日本人の2人に1人が罹患し、3人に1人が死亡することが報告されており、多くの国民の生命および健康に関わる疾患である。近年、新たな制吐薬の上市や制吐薬に関連するガイドラインの発刊により、抗がん剤による悪心や嘔吐は制御可能となった。このような背景から、日本における制吐薬の使用状況は大きく変遷していると考えられるが、その詳細は明らかでない。 本研究では、リアルワールドデータである医薬品の販売量データおよびNDBオープンデータを用いて、制吐薬の使用状況を評価することを試みた。医薬品の販売量データ、NDBオープンデータで用いる共通の医薬品マスタを作成し、制吐薬の使用状況を評価できる仕組みを構築した。今後は、作成した医薬品マスタを用いて、医薬品の販売量データおよびNDBオープンデータに基づく制吐薬の使用状況を把握する予定である。 また、大規模保険請求情報を用いた制吐薬に関連するガイドラインの遵守状況の評価に関する研究についても着手した。患者情報、病名情報など、様々な定義付けを慎重に行い、制吐薬に関連するガイドラインの遵守状況を検討するための準備を整えた。今後は、制吐薬に関連するガイドラインの遵守率を明らかにするとともに、遵守率に影響を与える因子についても検討する予定である。 本研究は、医薬品の販売量データ、NDBオープンデータ、大規模保険請求情報といった複数のリアルワールドデータを用いることで日本における制吐薬の適正使用に関する実態を評価する初めての試みであり、本研究で得られた結果は、抗がん剤治療を受ける患者にとって有益な情報になると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
医薬品の販売量データの納入が予想よりも遅れ、研究の進捗に遅れが生じた。また、大規模保険請求情報はデータ量が多く、対象患者を適切に選定するためのアルゴリズムの作成や、患者背景や疾患などの定義づけに予想以上に時間を要した。これらを考慮し上記判断とした。
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Strategy for Future Research Activity |
予定よりも研究の進捗は遅れているものの、医薬品の販売量データ、NDBオープンデータ、大規模保険請求情報を用いたいずれの研究も、結果を出すための準備は整った。今後は、さらに優先度を上げて本課題に取り組み、学会発表および論文投稿を目指す予定でる。
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Causes of Carryover |
研究の進捗が遅れ、論文投稿ができなかったため、次年度使用額が生じた。 翌年度分の助成金と合わせて、論文の英文校正費、論文投稿費、掲載費などに充てる予定である。
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