2022 Fiscal Year Research-status Report
マレーシアボルネオ島で流行するデング熱の監視と大規模疫学的解析
Project/Area Number |
22K17346
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
森 大輔 九州大学, 医学研究院, 講師 (10832925)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | デングウイルス / 分子疫学 / 遺伝子診断 / 感染症 / 迅速診断法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、ボルネオ島に位置するマレーシア国のサバ州に焦点を当て、ヒト血清を用いたデングウイルスの分子疫学的な大規模調査を実施し、デングウイルス流行株の同定、またその過程において新たな血清型や遺伝子型の探索を実施する。 デングウイルスの感染環は、都市型と森林型が存在するが、森林型デングウイルスがヒトに感染した報告例はこれまで5例のみであり、そのうち4例はマレーシアから報告されている。そのため、サバ州においても森林型デングウイルスがヒトへの伝播の関与があるのか、併せて分子疫学調査にて実態を解明する。さらには、簡易的な遺伝子解析技術による新たなデングウイルス検出法の開発に取組む。 本年度は、研究を開始するにあたり、九州大学と現地で研究を実施するマレーシア国立サバ大学との大学間における共同研究契約書の準備と締結、その後マレーシア保健局への倫理審査の申請と承認を行った。それらの承認を得られるまで大幅に時間を費やしたため、サバ大学に保管されているサンプルについて、詳細な研究の実施やヒト血清より抽出したデングウイルスRNA等を日本への持ち出す事も出来なかった。 現地において、追加のサンプル収集についても、当初は新型コロナウイルスによる社会的な影響で停滞していたが、後半では海外渡航も容易になり、研究代表者が一度マレーシア国立サバ大学を訪問して、研究の進捗状況等の打ち合わせ等を行い、サンプル収集や研究を開始する準備を整えることができた。 また、現在(2023年4月時点)のマレーシアでは、デングウイルス感染が昨年と比較して患者数が200%以上も急増しており、今後はさらに研究を加速させていく予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
九州大学とマレーシア国立サバ大学との大学間における共同研究契約書を締結し、その後マレーシア保健局の倫理審査員会への承認が得るまで約1年を要した。また、2022年度の前半は新型コロナウイルスの社会影響より海外渡航がままならなかったが、後半にようやく研究代表者が渡航することができた。 以上の理由により、今年度は当初の研究プランより遅れているが、残りの研究実施期間において遅れた分の巻き返しが出来るように再度研究実施プランを練り直す予定である。
|
Strategy for Future Research Activity |
マレーシア保健局の倫理審査員会において、デングウイルス感染者のサンプルを日本に持ち出す許可の承認が得たため、それらを研究代表者が渡航してRNA抽出して研究を予定通り実施予定である。
|
Causes of Carryover |
2022年度の研究実施内容等は、大学間共同研究契約書の締結や九州大学およびマレーシア保健局双方の倫理審査委員会の承認に時間を要したため、研究を開始できる環境がようやく整備された。そのため2022年度に使用した研究費は、研究を開始にあたり必要な器材等の購入、研究代表者の渡航費等に使用し、試薬・消耗品等の購入を控えたため、次年度使用額に変更が生じた。 今後は、研究プランを再構築し、研究を実施する予定である。 さらには、得られたデータについては、随時学会発表や論文作成を実施する予定である。
|