2023 Fiscal Year Research-status Report
呼吸器ウイルスに増強される細菌感染の分子機序の解析と標的細胞の同定
Project/Area Number |
22K17354
|
Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
前花 祥太郎 北里大学, 医療衛生学部, 講師 (40803177)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | 呼吸器ウイルス / 薬剤耐性 / 混合感染 / iPS細胞 / シングルセル解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
全世界で増加の一途を辿って抗微生物薬耐性(Antimicrobial resistance)は、基礎疾患を持つ患者や急性ウイルス感染症後の免疫が低下した易感染性宿主の抗菌薬治療に大きく影響を与え、病状を長引かせ、医療全体を逼迫させている。ウイルス性呼吸器感染症が予後不良となる転機は、混合性あるいは続発性に生じる細菌感染症にあり、特に薬剤耐性菌による感染症は治療薬の選択肢が限られる。 インフルエンザウイルスやRSウイルス感染症において細菌感染症の併発により病態を著しく悪化させるとは知られているが、新型コロナウイルス感染症では原因菌が特定される前に広域スペクトルの抗菌薬投与が開始されることもあり、混合感染の研究が進んでいない。本申請では、新型コロナウイルス感染に併発する薬剤耐性菌の混合感染のメカニズムを、肺由来株化細胞に並びにヒトiPS細胞由来気道上皮細胞などを用いて解析する。 2023年度は当研究室で集積している耐性菌による培養細胞への定着実験を実施してきた。耐性菌の集積は腸内細菌目細菌である肺炎桿菌や大腸菌、緑膿菌等が検出されており、入院治療で第一選択薬となる高域β-ラクタム契約に耐性を示す細菌が順調に分離され、保存している。緑膿菌を中心に線維芽細胞ならびにヒト肺由来細胞A549において実施したものの、菌株数が少ないことに加え、定着性を示す菌株が想定よりも抽出できておらず、先の解析は進んでいない。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
呼吸器細胞へ定着性を示す耐性菌の抽出が想定よりも少ないため。
|
Strategy for Future Research Activity |
1) 肺炎桿菌など腸内細菌目細菌などの薬剤耐性菌における細胞への付着性の確認 2) インフルエンザウイルスとの共感染での影響
|
Causes of Carryover |
2023年度は薬剤耐性菌の集積を行い、順次呼吸器由来の細胞に付着能を有する細菌をスクリーニングした。主に緑膿菌をターゲットに実施したが、付着能を有する菌株がほどんどなく、また緑膿菌自体の株数も限られていたことから、解析を進めることができなかった。本課題ではiPS由来細胞を用いた解析並びにシングル解析に費用を要することから、菌株の取得を行った後の次年度以降に研究費を使用する計画である。
|