2023 Fiscal Year Research-status Report
小児由来ディフィシル菌の疫学研究―小児由来株は成人への感染源になるか―
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22K17356
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
山田 景土 東邦大学, 医学部, 助教 (90832832)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | ディフィシル菌 / 小児 / 分子疫学 |
Outline of Annual Research Achievements |
Clostridioides difficile(ディフィシル菌)は抗菌薬関連下痢症の主要な病原体である。本菌はヒト腸管内に常在しており、抗菌薬投与等によってディフィシル菌優位となり、ディフィシル菌から産生せれる毒素によって腸炎を発症する。本菌は小児期の腸管において優位に保菌されているが、小児ではディフィシル菌に起因する腸炎の発症は稀であると言われている。そのため、起炎菌となり難い小児由来のディフィシル菌について分子疫学的解析を実施した例は少なく、小児由来株と成人由来株との関わりは明らかになっていない。そこで、本研究では、小児にターゲットを絞り、毒素産生株を収集、ゲノム配列を取得し、同時期に分離されている成人由来株のゲノム配列と比較することで、成人由来株と小児由来株の関連性を明らかにすることを目的とした。 前年度から引き続き小児由来株のドラフトゲノムを取得した。小児由来株のゲノムデータから、Multi-locus sequence typing (MLST)による菌株タイピングを行った。また、同時期に採取された成人由来株のゲノムデータと比較し、小児由来株と成人由来株ではMLSTで最優位となるsequence type (ST) が著しく異なる事が明らかになった。その一方で、同一STにクラスタリングされる系統も確認された。次年度以降で詳細な遺伝的解析を行い、論文化していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
小児に由来するディフィシル菌のドラフトゲノムを全て取得することが出来ている。概ね予定通りの進捗状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
ゲノムデータ、薬剤感受性データ、臨床情報の大部分を取得出来ているため、今後は必要に応じて再実験を行い、論文化の作業を行っていく。
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Causes of Carryover |
予定していた論文発表がずれ込んでおり、それに伴う校正費用・掲載費用などに未使用額が生じた。次年度はデータ再解析、論文化に伴う英文校正費用や研究成果の発表用の経費として支出を予定している。
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