2023 Fiscal Year Annual Research Report
災害後の医学事例研究のための報告ガイドラインの開発と評価
Project/Area Number |
22K17367
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
西川 佳孝 京都大学, 医学研究科, 助教 (60878362)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 事例研究 / 報告ガイドライン / 災害 / 健康危機管理 |
Outline of Annual Research Achievements |
災害対応や感染症の流行など、健康危機管理の様々な局面において、事例研究は、個別の知を集積するために重要な意義を持つ。しかし、災害後の医学事例研究の標準的な報告様式が定まっていないため、記載内容にはばらつきがあり、エビデンスの集積と統合が、極めて困難であるといった課題がある。本研究の目的は、災害後の医学事例研究の報告ガイドラインを開発し、文献レビューを行い、また、事例研究を実践し、その実施可能性を評価することである。 方法論に関する書籍および文献のレビュー、災害後の事例研究について系統的な文献検索および文献レビューを実施した。既存の報告ガイドラインと合わせて、報告ガイドラインの採用項目の検討を進めた。災害後の医学事例研究、ひいては広く健康危機管理において有用な事例研究の在り方を提案するために、事例研究の位置づけをひろく検討する必要が出てきたため、事例研究全体としての書誌情報解析を実施した。 また、災害関連の事例研究の実践として、福島第一原子力発電所事故後の地域における介護、とくに訪問リハビリテーションおよび外来リハビリテーションの実態について、現地機関と協力し、事例研究を実施した。また、最終年度には、避難後の帰村地域においても、リハビリテーションが実施可能であることを記述する事例研究をembedded case studyとして報告した。福島県内の災害公営住宅に関する事例研究も実施した。さらに、福島第一原子力発電所事故後の安定ヨウ素剤の配布および内服の実態について検討を進め、学会発表をおこない、現在論文作成中である。 事例研究の実践については、健康危機管理上重要な医薬品の不足、希少な疾患および状態の実態調査、自治体レベルの医療費、国レベルの事例など、災害関連の事例研究に関する知見を踏まえて、パブリックヘルスの諸課題へと広がりを見せている。
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