2022 Fiscal Year Research-status Report
Establishing a gold standard for pediatric visual screening: When to screen for visual dysfunction?
Project/Area Number |
22K17381
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Research Institution | Fukuoka International University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
田村 省悟 福岡国際医療福祉大学, 医療学部, 講師 (80469410)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 小児視覚スクリーニング / ゴールドスタンダード / 実施時期 / 検査可能率 / 検査精度 / 視能訓練士 / 弱視 |
Outline of Annual Research Achievements |
小児視覚スクリーニング(Pediatric Vision Screening; PVS)をいつ、誰が、どのような方法で実施するかは、国家間、さらに同一国内でも異なっており、最適なスクリーニングプロトコールは明確に示されていない。そのため、世界および日本各地のPVSプログラムには大きな地域格差が生じている。本研究の最終目的は、弱視を含む視機能異常に対するPVSの最適な実施時期、実施者および実施方法を明らかにするために、その基準となるゴールドスタンダードの確立を目指すことである。本研究では実施時期に着目し、視能訓練士による三歳児眼科健診(三歳児健康診査における視覚検査)の至適実施時期を明らかにする。 本研究の対象は宮崎県延岡市で三歳児眼科健診を受診した小児で、そのうち3歳2~5ヶ月で受診した小児を前期群に、3歳6~11ヶ月で受診した小児を後期群に分類した。家庭での保護者による一次検査、保健センターでの視能訓練士による二次検査、医療機関での精密検査の結果を後ろ向きに調査し、2群間で比較した。 調査の結果、保護者等による視力検査(一次検査)の検査可能率、視能訓練士による視力検査(二次検査)の検査可能率、両視力検査の判定一致率、二次検査の陽性的中率は前期群に比べて後期群で向上した。したがって、三歳児眼科健診は3歳6ヶ月以降の実施が適切であることが示唆された。弱視を含む視機能異常の検出率に差を認めなかったが、二次検査の陽性的中率は後期群に比べて前期群で低下した。したがって、3歳6ヶ月より前の実施ではオーバースクリーニングが生じることが推測された。 本研究は、PVSの精度向上、地域格差の是正を促進し、弱視を含む視機能異常の早期発見および早期治療に寄与する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
PVSの至適実施時期に関する分析を初年度におおよそ完了させることができたことより、研究は当初の計画に沿って進捗している。研究成果は学会にて発表し、現在はその論文を執筆中である。先行研究で取り組んだPSVのスクリーニング検査項目に関する調査についても並行して論文を執筆している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、PVSの至適実施時期に関する論文、PSVのスクリーニング検査項目に関する論文を完成させ、国際学術雑誌での公表を目指す。論文の執筆では、対象数の追加、新たな分析の実施、追加データの収集を必要に応じて検討する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、現地ではなくオンラインで学会に参加する機会が増加した。そのため、当初計画に比べて、旅費の支出が減少したことが次年度使用額が生じた最大の理由である。 今年度は新型コロナウイルス感染症への対策が見直される見込みであるため、現地学会参加の旅費に使用したい。さらに、論文執筆・公表に関わる費用、追加データの収集に必要な機器および器具の購入等に使用したい。
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