2023 Fiscal Year Research-status Report
Development of a long-term follow-up data base to clarify the clinical and life trajectories of cancer patients.
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22K17393
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
藤井 誠 大阪大学, 大学院医学系研究科, 特任准教授(常勤) (10803760)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | がんサバイバー / ライフコース / 死因 / 治癒割合 / 地域がん登録 / 人口動態統計 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、がん罹患者は以前よりも新たながんに罹患しやすいのか、治癒したとみなされ再発の心配はないのか、最期はどのような死因で亡くなるのかといった臨床上の軌跡を明らかにするデータ基盤の活用を目的とする。また、大阪府下の急性期病院におけるがんによる人工肛門造設手術を受けた患者の長期追跡データを利用し、排泄管理技術の習得や自立の継続といった生活上の情報に関する検討を行うことも目的とする。
2023年度-2024年度に予定していた2点について先に検討を進めた。具体的には、治癒したがんに焦点を当て、多重がんの予後が過去のがんの有無によって予後がどのように変化するのかを検討した。胃がん、大腸がん、肺がんの3部位における分析において、性別および年齢グループ別の既往がん患者の治癒率は、65歳以上の胃がん患者を除き、既往がんのない患者と比べて有意に低いこと、肺がんのどのステージにおいても、治癒した以前のがん患者の割合は、過去のがんのない患者と同程度であることを明らかにし、原著論文にまとめ出版した。 また、乳がん患者の罹患年齢と進展度における詳細な死因とハザードの関係については、若年罹患者は原発がん死亡が多く、年齢が高くなるにつれて、非がん死亡が増加すること、年齢を考慮しない乳がんの生存曲線が指数関数的ではなく、年齢と死因により複合し一定の死亡と見えているだけであることを明らかにし、原著論文にまとめ出版した。
2022年度から先送りにしていた人工肛門保有者の管理技術の習得と阻害要因の検討関しては、データベース構築が完了し、人工肛門造設者の造設後の人工肛門管理技術の習得と喪失の経年変化を可視化するとともに、管理技術の維持を阻害する要因に年齢と全身状態の指標であるPSが影響することを明らかにし、学会で発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2023年度に計画していた目標は全て完了し、2本の原著論文の出版を完了している。また、2024年度に計画している目標についても、データの収集および主となる分析は終わっており、得られた成果について学会発表は終えている。今後は、詳細な分析を進めるとともに、未公表の成果をできる限り原著論文の形で公表することを進める予定である。 上記の理由により、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
主となる解析は概ね完了しており、成果の公表をより進めていく方針とする。これまで、4本英文原著を出版しているが、詳細な検討については公表の余地があるため、未公表の結果について推敲を重ねつつ、さらなる成果の公表を推進する。
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Causes of Carryover |
成果発表の国際学会が国内学会になり旅費支出が少なかった。また、原著論文のAPCが想定よりも高額であったため、その他の支出が多くなった。予定通りの使途であるが、結果的に残金が発生した。
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Research Products
(3 results)