2023 Fiscal Year Annual Research Report
脂質に着目した脳・心血管疾患の個別化予防実現のためのゲノム・メタボローム疫学研究
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22K17402
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
平田 あや 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師 (20845739)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | リポ蛋白分画 / 脂質 / 動脈硬化 / 遺伝子多型 / 危険因子 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究ではまず冠動脈疾患(CAD)発症リスクの上昇と関連する詳細リポ蛋白分画の脂質プロファイルの検討を行った。その結果、大型HDLの脂質や粒子数はCAD発症リスクと負の関連を示し、小型HDLでは正の関連を示すことが明らかとなった。次にCAD発症と統計学的に有意な関連を示した大型HDL-Cと関連する生活習慣要因を探索したところ、飲酒習慣が大型HDL-Cの上昇と関連していることが明らかとなった。そこで大型HDLに対する遺伝・環境交互作用を検討するため、大型HDL-CのGWASを実施し、そこで同定されたSNPと飲酒習慣の交互作用を検討した。結果として本研究で当初予想していたHDLの機能に関連する遺伝子領域は同定されなかった。その原因としては、リポ蛋白分画の脂質と関連するゲノムを同定するには検出力が不十分であった可能性や大型HDLは小型HDLと異なりHDLの主要な抗動脈硬化作用とされる末梢細胞からのコレステロール引き抜き能を直接的には反映していないことが考えられ、そのためにHDL機能に関連する遺伝子領域が検出されなかった可能性が考えられた。次に飲酒と大型HDLの脂質に関するメタボロームのプロファイルを検討するため、飲酒習慣の有無と大型HDL-Cの中央値未満・以上で対象者を4群に分類した。各群のプロファイルを比較した結果、大型HDL-C値だけでなく飲酒の有無によっても代謝が大きく変化しており、HDL-C同群でも飲酒習慣によって関連の方向が異なることが示された。
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