2023 Fiscal Year Research-status Report
特異的シグナル伝達経路解析に基づく革新的な法医学的皮膚病変評価法の確立
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22K17411
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
磯崎 翔太郎 東海大学, 医学部, 助教 (60834504)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 熱傷 / βカテニン |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は引き続き、安定した熱傷モデルマウスの作成を試みた。6週齢のBALB/c雄マウスの背面皮膚を剃毛・除毛した。フェライト磁石(外径10mm×厚み3mm)2枚をウォーターバス内で設定温度(60℃、65℃、70℃)で30分加温し、剃毛・除毛24時間後にイソフルラン麻酔下で背部皮膚を加温したフェライト磁石で20秒間挟み込む事により熱傷を惹起した。熱傷処置24時間後に頸椎脱臼により安楽死させ、背面皮膚を採材し、中性緩衝ホルマリンで24時間皮膚組織を固定後に切り出しを行い、ヘマトキシリン-エオジン染色及びβカテニンの免疫染色を実施した。結果、肉眼的には65℃及び70℃の暴露で発赤及び浮腫を認めたが、60℃の暴露では明らかな変化は指摘できなかった。ヘマトキシリン-エオジン染色も同様に65℃及び75℃の群では真皮の浮腫性肥厚が観察されたが、60℃の暴露では陰性対照と同様の形態を呈していた。一方でβカテニンの免疫染色では60℃、65℃、70℃のいずれも角化細胞において核内移行が認められた。本研究結果からβカテニンの核内移行は肉眼的及びヘマトキシリンエオジン染色で変化を示さない条件でも認められ、温熱障害の鋭敏なマーカーとなる可能性が示唆された。今後熱傷におけるβカテニン核内移行の機序及び機能解析を行う予定である。また、経時的変化を追っていくことで、物理・化学的皮膚障害の法医学的診断マーカーとしてのβカテニン核内移行の有用性を検討していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでの検討から安定的な熱傷モデルマウスを確立することができ、今後の分子生物学的解析への見通しをつけることができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、研究実施計画に沿って研究を遂行していく予定である。
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Causes of Carryover |
試薬を割引価格で購入できたため余剰金が生じた。引き続き研究計画遂行のための消耗品購入に充てる予定である。
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