2022 Fiscal Year Research-status Report
皮膚バリア機能と経皮吸収の関連、およびサリチル酸による臓器障害のメカニズム解明
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22K17429
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
松本 裕 東海大学, 医学部, 講師 (80609230)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | サリチル酸メチル / 皮膚バリア機能 / 経皮吸収 / ウィンターグリーンオイル / 加齢 / 薬剤性肝障害 / 薬剤性腎障害 / アロマセラピー |
Outline of Annual Research Achievements |
8週齢のHR-1マウスおよび20ヶ月例の加齢HR-1マウスを用いて動物実験をおこなった。具体的には、動物実験当日に皮膚バリア機能の指標であるtransepidermal water loss (TEWL) および表皮水分量を測定した。次に、ウィンターグリーンオイル(サリチル酸メチル≧98%含有)をマウス背部に体重あたり同量を塗布し、30分後に血液・臓器を採取した。採取した血液は遠心分離をおこない、血漿をディープフリーザで凍結保存した。また、採取した各種臓器からRNA抽出をおこない、エタノール沈殿の状態でディープフリーザで凍結保存した。また、腎臓の電子顕微鏡撮影用に資料作製をおこなった。 さらに本研究課題の着想のもととなったオリジナルのサンプル(肝臓・腎臓)を用いて、炎症関連および酸化ストレス関連の遺伝子発現解析をリアルタイムPCRを行い、予想通りの結果が得られた。その研究成果を第29回 日本未病学会学術総会でオーラルプレゼンテーション(2演題)をおこなった。その他、アロマセラピーに関する学会発表2件を日本補完代替医療学会でおこなった。さらに、アロマセラピーに関する原著論文が1報掲載された(https://www.mdpi.com/2673-4184/2/3/28)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究代表者の所属が基盤看護系専門基礎領域から基盤看護系基礎看護学領域へと変更がなされた。さらに予定外で追加担当することになった講義・演習・実習へ優先的に取り組む必要性が生じたため、当初予定された遺伝子発現解析や電子顕微鏡撮影は実施できなかった。 しかし、サンプリングおよびRNA抽出までは完了しており、次年度につながる進捗がみられた。また、研究代表者と専門分野が重なる共同研究者2名および本研究課題と関連する特定非営利活動法人の協力を得て、研究成果を公表できるHP作成等を実施するとともに今後につながる強固な研究組織を構築した(HP公開は2023年6月下旬を予定している)。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度は3ヶ月間のサバティカルを取得予定である。その期間に、前年度の遅れを取り戻すべく遺伝子発現解析、血液生化学分析および電子顕微鏡撮影などの実験を進め、できるところから解析を進める。指導学生2名および共同研究者2名の実験協力も得ながら、実験データ取得を加速させる。
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Causes of Carryover |
所属領域が変更となり、新規担当科目(実習を含む)への対応が必要となり、当初予定通りの時間を研究に費やすことが困難であったため。本研究課題は薬剤の経皮吸収およびその後の臓器障害への影響を検討する研究であることから、今年度の使用計画としては、皮膚の生理機能を測定する装置と、PCR・電子顕微鏡撮影・血液生化学検査などに必要な消耗品を中心に購入する。
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