2022 Fiscal Year Research-status Report
養護教諭のための統合失調症を発症した生徒のアセスメントツール開発
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22K17459
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Research Institution | Kanagawa Institute of Technology |
Principal Investigator |
欠ノ下 郁子 神奈川工科大学, 健康医療科学部, 講師 (40707890)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 統合失調症 / アセスメントツール / 養護教諭 / 早期介入 / 生徒 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は令和4年度から令和7年度までの4年間で、統合失調症を発症した中学生・高校生に対する早期発見・早期介入を目指した、学校で利用できるアセスメントツールの開発を行うことを研究目的としている。 令和4年度は、養護教諭および学校で勤務する看護師が、統合失調症を発症した生徒に対して受診を促すタイミング、判断基準および受診経路を明らかにすることを目的として、対面もしくはオンラインでインタビュー調査を行う計画であった。インタビュー調査を実施する前に、関連学会の学術大会に参加し、統合失調症の受診過程に影響する要因について、新しい知見を得た。特に統合失調症は、思春期に発症するこどが多く、「生きづらさ」「SOC(首尾一貫性)」「母親の向社会性」が生徒の統合失調症の発症に影響を与えることを学ぶことができた。さらに、統合失調症の発症には、遺伝的素因のみならず環境要因やストレスの脆弱性も指摘されている。そのため、新型コロナウイルス感染拡大で通常の学校生活ができないことや、現代の能力主義が児童生徒を学力競争に駆り立てることでストレスの増加から生きづらさや精神疾患の発症に影響している可能性についても学ぶことができた。 これらの学びから、再度研究計画およびインタビューガイドの見直しを行い、令和4年度に実施する予定であったインタビュー調査の準備を進めた。インタビューガイドの内容の見直しを行った後で、研究代表者が所属する大学の倫理審査に申請し3月に承認を受けた。その後は、研究協力対象者に対して、研究依頼を行っているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究は、現職の養護教諭および学校で勤務する看護師のために統合失調症を発症した生徒の受診のタイミングを判断するためのアセスメントツールを開発することを目的とする。「研究実施計画」に基づき、令和4年度は、養護教諭および学校で勤務する看護師が今までに統合失調症を発症した生徒に対して受診を促すタイミング、判断基準および受診経路を明らかにすることを目的として、インタビュー調査を行う計画であった。インタビュー調査を実施する前に、関連学会の学術大会に参加して、統合失調症の受診過程に影響する要因についての新しい知見を得た。さらに、現在における養護教諭と生徒が抱えている課題についても新しい知見を得ることができた。これらの最新の知見を反映させながら、インタビューガイドのブラッシュアップを行った。「研究実施計画」よりも少し遅れてはいるが、2023年1月に神奈川工科大学倫理審査会に申請して、承認を得た。倫理審査会の承認を得た後に、倫理的配慮を行いながら、関東圏の中学校・高等学校に勤務する養護教諭を対象に研究協力の依頼を行った。研究協力に同意してくれた対象者や所属している研究会での説明後に、ネットワークサンプリング法にてさらに研究協力依頼を行っている。 現在、研究協力の同意を得られている対象者に対して、日程調整をして新型コロナウイルス感染対策を講じながら、インタビュー調査を行う準備を行っているところである。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策については、養護教諭および学校で勤務する看護師が今までに統合失調症を発症した生徒に対して受診を促すタイミング、判断基準および受診経路を明らかにすることを目的として、飽和状態に達するまでインタビュー調査を行う。 また、インタビュー調査の内容をもとに、現職の養護教諭および学校で勤務する看護師のために統合失調症を発症した生徒の受診のタイミングを判断するためのアセスメントツールを作成する予定である。その際に、国内外の書籍および文献を購入し、先行文献を参考にしながら日本の生徒の実情にあったアセスメントツールを検討する。また、分析結果を関連学会に発表し専門家の意見をもらう。また、学術雑誌に投稿する。
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Causes of Carryover |
2022年度は、新型コロナウイルス感染拡大の中でのインタビュー調査を行う計画をしていたた。そのため、2022年度は感染状況に波があり、計画通りにインタビュー調査が行えず次年度使用額が生じた。 2023年度に、前年度行えなかったインタビュー調査を実施するため、2022年度の未使用額を2023年度に使用する予定である。
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