2022 Fiscal Year Research-status Report
バーチャル・リアリティを用いた看護職への放射線防護研修プログラムの構築
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22K17462
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Research Institution | Chubu University |
Principal Investigator |
大屋 富彦 中部大学, 生命健康科学部, 講師 (30748215)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | 放射線防護 / 教育 / 看護 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,2018~2020年度に科研費(18K17538)の採択を受け実施した課題からの継続テーマである.研究の最終目標は,放射線診療における散乱線の可視体験ができる教材および教育プログラムの開発により,看護師をはじめとした医療スタッフの被ばく線量の低減化を図ることである.初年度である2022年度の実績は以下のとおり,概ね順調に進展している. ① 教材開発する放射線診療場面の検討:病院に勤務する看護師が遭遇する機会の多い放射線診療について検討し,被ばくのリスク,開発の現実性を考慮して,教材開発する診療場面を移動型X線撮影,X線CT検査,X線透視検査に決定した. ② 散乱線の計測: nanoDot空間線量計(Landauer Co., Ltd.)を用いたジャングルジム法(大屋ら. RNSJ, 8 (1), 2020; Daioku et al. J Radiol Nurs, 40 (3), 2021)で,決定した放射線診療で発生する散乱線を計測した. ③ 散乱線の分布図の作成と検査室の3DCG映像の制作: 測定値からOriginPro 2019ソフトウェア (Lightstone Co., Ltd.)を用いて,線量プロファイルを作成中である.一部,集中治療室におけるX線透視撮影の結果については,線量プロファイルまで完成し,本結果はAsia Pacific Intensive Care Symposium 2023(APICS 2023)での公表に向けエントリー済である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2022年度は,教材を開発する放射線診療場面の決定と散乱線量の計測を主な目標としていた. 放射線診療場面は,医療補助の目的で看護師が立ち会う機会が多いと考えられる移動型X線撮影,X線CT検査,X線透視検査とした.これらの標準的な検査で発生する散乱線量の計測が済み,現在は線量プロファイルとRGB線量マップの作成に取り掛かっている段階である. 構想の段階で含まれていたIVRについては,Cアームの移動が多いことから現在の方法では計測が難しく今回の計測対象からは除外した.しかし,長瀬ランダウアのRaysafe452を用いることで,Dynamic Dose Profileが可能となったため再検討していく予定である.
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Strategy for Future Research Activity |
概ね当初の研究計画に沿って推進する予定である. ① 線量プロファイルの作成とRGB線量マップの作成を進めると同時に3DCGの作成に取り掛かる. ② バーチャル・リアリティ(VR)を体験するデバイスの選定を進め,Unityソフトウェア (Unity Technologies Co., Ltd.)により教材の完成を目指す.計画どおりに教材開発が進めば,専門業者 (GROW Co., Ltd.)にプログラムの動作確認と修正を依頼していく. ③ プログラムの修正を依頼中に,インストラクショナルデザインのADDIEモデルに沿って開発したVR教材を用いた研修プログラムの設計を開始する.
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の影響で予定していた学術集会がオンラインになったため旅費の一部が余ったが,次年度購入予定の研究資材が物価高騰により当初の計画より割高になっているため,ここに補填したいと考えている.
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