2023 Fiscal Year Research-status Report
EWS自動アラートによる新たなRapid response systemの構築
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22K17469
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
野口 綾子 東京医科歯科大学, 東京医科歯科大学病院, 講師 (20871594)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | rapid response system / クリティカルケア / early warning system / 医療の質 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、リスク患者の把握から介入までがより早期にできる実現可能なRapid response systemの形態を検討することを目的としている。 急変リスク患者の把握において看護師の個々の認識の差異、測定漏れや見落とし、業務負荷などの影響を回避できるEarly warning scoreの自動スコアリングシステムを導入したプロアクティブ巡回型のRapid response systemが、急変や心停止を減らすことができるかを検証することを目的とする。 本研究はフェーズ1でシステム構築、フェーズ2で導入、フェーズ3で評価を行う。令和5年度は、EWSシステム導入の第2段階である病棟への導入までを行い、フェーズ2を完了した。予定していた全病棟へのEWSについての知識提供とシステム導入を行い、EWSによるRRTの起動基準を周知した。EWSデータを用いて、月毎のリスク患者総数と呼吸数測定率を病棟毎に算出し、フィードバックを開始している。これらは院内で関係各部門を巻き込み、プロジェクトチームを立ち上げて進めており、研究プロセスそのものにおいても医療の質改善に貢献している。システムでのデータ抽出の課題がみつかり、プログラムの修正を図る必要があったためこれについても修正を行った。収集されたデータから新たに臨床上の課題として呼吸数測定率の欠測が見えたため、その要因について解析し改善を図ることでデータの質をあげることにも還元させている。これらの取り組みの主軸とするプロアクティブ巡回型のRapid response systemの影響についての論文を執筆し、研究過程でみえてきた課題、変化や要因解析の結果については、第26回日本臨床救急医学会総会・学術集会の教育講演と、第51回日本集中治療医学会学術集会において発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
データの欠損が多いことにより、改善の可能性を検討しながら進めていく必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
令和6年度は、迅速対応チームの巡回の継続に加えて、データの欠損の課題解決に向けた取り組みも進めながらデータ収集を継続する。並行して導入前2年間と、第1段階、第2段階で得られたデータのクリーニングと解析を開始する。適宜新たに得られた知見は、学会発表などで公表していく。 令和7年度には、得られたデータを統計学的に解析し、EWSシステム導入の効果を検証する。また結果をまとめ国内外に発表する。
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Causes of Carryover |
施設の新たな病棟の開始に伴う重症管理部門システムの変更があり、また収集すべきデータの精度を上げるための取り組みが、当初の計画に加えて必要になったことで、若干の遅れをとらざるを得ず、国際学会での発表のタイミングに合わせられなかった。次年度には、施設の電子カルテベンダー変更に伴うシステム調整が必要になる。初期計画に追加して専門家によるシステム調整と検証に追加の謝金が発生する可能性があり、またデータ管理のデバイスの購入を検討している。加えて為替の影響で計画時よりも国際学会発表や国際誌投稿にかかる金額が大きくなっているため、必要経費が大きくなることを予期している。
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