2022 Fiscal Year Research-status Report
地域で生活する長期入院経験を有する統合失調症者の生活維持の方略と支援の在り方
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22K17481
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
伊藤 文子 帝京大学, 医療技術学部, 講師 (30738018)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 統合失調症 / 長期入院経験 / 地域生活 / 方略 / ストラテジー |
Outline of Annual Research Achievements |
思考の異常や自我の障害を主とした疾患である統合失調症の人々が、活動制限や参加制約による社会的な孤立や自尊心の低下(國方ら2006)を持ち合わせながらも、地域において自分らしく生活を構築するためにどのような自己概念を形成し、症状のコントロールを行っているのか。自身の研究においても、治療を継続してきた当事者の価値評価に沿うことにより、かならずしも他者のサポートがなくとも、自律的な生活の営みが可能になることを明らかにしており(伊藤,2020)、実際多くの統合失調症者は地域生活を営んでいる。よって、長期入院経験を有しながらも地域において生活を維持している統合失調症の人々が、どのような自己を維持することによって、地域での生活維持が可能になるのか、その生活の営みの方略(ストラテジー)を明らかにすることを目的に研究を進めた。 まず2022年度の計画として、対象条件に即した研究参加者より語りのデータを収集した。研究参加者は現在計4名おり、1名につき約4回程度のインタビューを繰り返し行っており約8割のインタビューが終了している状況である。また、語りのデーターは、インタビュー終了後、フィールドノーツを踏まえトランスクリプトを作成し随時分析を進めている。 2023年度は、ライフストーリー研究の対話的構築主義を参考に個人的な生活や経験の語りから、統合失調症の人々にとって地域での生活を維持するためのもの(社会的資源)が何であるのか、またその生活の営みにおける個別的な方略(ストラテジー)を分析から読み解き、かれらの事実とその評価を明らかにし、学会発表する予定である。また、2022年度と同様、4~5名程度の研究参加者を募集し、インタビューを実施する予定である。 これらより、個別的な当事者理解の視点を明らかにし、それらを提示することにより、個々人の具体的な支援について看護の示唆を得ることができると考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初研究参加者は10名と予定していたが、現在協力が得られている研究参加者は4名である。しかし、1名の研究参加者において約4回程度のインタビューを繰り返し実施する計画であることから、1年間において、約2~3か月おきに計4回程度のインタビューを実施するペースは妥当であると考える。よって、COVID-19の感染状況を鑑み、引き続き研究参加者を探しながらインタビューを継続していく予定である。 インタビューが終了しているデータについては、適宜文字起こしを行い、分析を進めている状況である。 また、COVID-19の感染状況を鑑み、海外学会にも参加していきたいと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、研究参加を得ている4名のインタビューは、2023年8月に一旦終了する予定である。引き続き、研究参加者の募集を行い、可能な限りデーター収集を行っていく予定である。また、現在トランスクリプトの作成が終了しているデータについては、スーパーバイズの指導のもと、分析を行い、各研究参加者の特性を整理していく予定である。その分析結果をもとに、2023年度に国内の学会発表、2024年度には、海外の学会にて発表が行えるよう、引き続き研究を進めていきたいと考える。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は、今年度のインタビュー予定者が予定より少なかった。また、地方在住者へのインタビューが予定より少なかったことから予定額より低くなった。 使用計画は、研究参加者を増やし、インタビューを実施するための交通費や文字起こしの費用としたい。
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