2023 Fiscal Year Research-status Report
地域で生活する長期入院経験を有する統合失調症者の生活維持の方略と支援の在り方
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22K17481
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
伊藤 文子 帝京大学, 医療技術学部, 講師 (30738018)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 統合失調症 / 長期入院経験 / 地域生活 / 方略 / ストラテジー |
Outline of Annual Research Achievements |
思考の異常や自我の障害を主とした疾患である統合失調症の人々が、活動制限や参加制約による社会的な孤立や自尊心の低下(國方ら2006)を持ち合わせながらも、地域において自分らしく生活を構築するためにどのような自己概念を形成し、症状のコントロールを行っているのか。自身の研究においても、治療を継続してきた当事者の価値評価に沿うことにより、かならずしも他者のサポートがなくとも、自律的な生活の営みが可能になることを明らかにしており(伊藤,2020)、実際多くの統合失調症者は地域生活を営んでいる。よって、長期入院経験を有しながらも地域において生活を維持している統合失調症の人々が、どのような自己を維持することによって、地域での生活維持が可能になるのか、その生活の営みの方略(ストラテジー)を明らかにすることを目的に研究を進めている。 まず2022年度の計画として、対象条件に即した研究参加者より語りのデータを収集した。研究参加者計4名において1名につき約4回程度のインタビューを繰り返し行い、フィールドノーツを踏まえトランスクリプト(逐語録)を作成した。当初は10名ほどの研究参加者を予定していたが、1人が4回ほどのインタビューに参加してくれたことからまずは4名のデータを分析していくことに変更した。 2023年度は、ライフストーリー研究法を参考に個人的な生活や経験の語りにおいて、統合失調症の人々にとって地域での生活を維持するためのもの(社会的資源)が何であるのか、またその生活の営みにおける個別的な方略(ストラテジー)を読み解き分析を行った。その結果、生活の営みにおける個別的な方略のなかに患者自身の病識やそれに伴う服薬行動が関与することが明らかとなり、まずはその部分に焦点を当て分析結果をまとめ学会発表を行った。2024年度は引き続き分析結果において明らかとなったカテゴリーに焦点を当てて分析を行っていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究参加者のデータ4名の分析について、1名あたりのデータ量が大きいため、分析に時間を要している。引き続き、データ分析の作業を行っていく。
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Strategy for Future Research Activity |
4名のデータについて、スーパーバイズの指導のもと、引き続き分析を行い、各研究参加者の特性を整理していく予定である。その分析結果をもとに、2024年度に雑誌投稿および、海外の学会にて発表が行えるよう、準備を進めていきたいと考えている。
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Causes of Carryover |
文字起こしを業者に頼んでいたが、トレースのソフトを購入し、部分的に自分で文字起こしができるようになったことから、文字起こしの予算が少し節約できた分、次年度使用額が発生した。
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