2022 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
22K17552
|
Research Institution | Kyushu Dental College |
Principal Investigator |
多田 葉子 九州歯科大学, 歯学部, 助教 (70458107)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | 舌苔 / 微小出血 / 潜血反応 |
Outline of Annual Research Achievements |
舌粘膜は歯や皮膚に比べて機械的刺激に弱く、容易に傷つき出血すると考えられるが、舌粘膜の微小出血に対する評価方法はない。そこで本研究では、舌苔除去を行う際の舌粘膜の微小出血を評価する方法について検討した。 粘膜ケアの微小出血の確認方法として、ヘモグロビン検出用キットペリオスクリーン「サンスター」を用いて、潜血反応を測定した。健康若年者を対象に、それぞれ以下の方法で採取した測定試料を用いて、評価方法の検討を行った。①3mlの水を口に含み10秒間軽くすすぐ。②舌背部にろ紙等をのせ唾液を採取し、水に浸す。③舌背部の唾液をスポンジブラシで採取し、水に浸す。④検査紙を舌背部にのせ、直接試料を採取する。⑤舌背部に水をたらし、容器に回収する。 それぞれの採取方法による結果は以下の通りであった。①何もせずにうがいを行ったところ、潜血反応が確認された。②舌背部に唾液を吸い上げる材料を用いて測定試料採取する方法では、潜血反応は確認できなかった。③舌背部をぬぐって測定試料採取する方法では、潜血反応は確認できなかった。④検査紙を直接舌背部にのせて測定試料を採取する方法では、舌清掃実施前に潜血反応がなかった者は、舌清掃後に潜血反応が確認できた。一方、舌清掃実施前にすでに潜血反応があった者は、舌清掃後も潜血反応が確認された。唾液量が少ない者は、試料採取できなかった。⑤舌背部に水をたらし、容器に回収した液体を測定試料としたものでは、舌清掃実施前は潜血反応が確認されず、舌清掃後に潜血反応が確認された。 視診で歯肉炎所見を認めない健康若年者であっても、うがいを行うと潜血反応が確認されたため、舌清掃前後の舌背部の微小出血を評価することは困難であった。舌上唾液を水で容器に流し入れ試料採取する方法については、舌清掃後に潜血反応が確認できたため、舌粘膜の微小出血の評価が可能であると考えられた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
歯肉炎所見を認めない健康若年者であっても、うがいを行っただけで潜血反応が確認されたため、舌清掃前後の舌背部の微小出血を評価することは、当初の想定以上に困難であった。また、舌粘膜ケア時の微小出血の評価方法として、ヘモグロビン検出用キットペリオスクリーン「サンスター」を用いたが、検査紙の色調変化による確認方法であるため簡便である一方、測定試料が少ない場合は微小出血が生じていたとしても判定できない可能性があることがわかった。また、潜血反応による微小出血の評価に関して、通法どおりの評価が困難であった。そのため、新たに微小出血の評価方法を検討することとなった。微小出血の評価後に実施する予定であった、歯ブラシ・舌ブラシ・スポンジブラシ等の舌粘膜清掃器具を用いて舌粘膜を擦り、擦過圧および擦過回数の検討を行う段階に到達できなかったため、進捗状況をやや遅れているとした。
|
Strategy for Future Research Activity |
舌粘膜ケアの微小出血の評価方法として、潜血反応を測定するヘモグロビン検出用キットペリオスクリーン「サンスター」を今回用いたが、口腔内に機械的刺激を加えることなく、うがいを行っただけで潜血反応が確認され、舌清掃前後の舌背部の微小出血を評価することが当初の想定以上に困難であった。このため、他の効率的な微小出血の評価方法がないか検討する必要がある。その後の計画については、予定通りに遂行可能と思われる。健康若年者を対象に、歯ブラシ・舌ブラシ・スポンジブラシ等の舌粘膜清掃器具を用いて、擦過圧および擦過回数の微小出血を生じない限度について検討を行う。健康高齢者については計画通りに、歯ブラシ・舌ブラシ・スポンジブラシ等の舌粘膜清掃器具を用いて、擦過圧および擦過回数の微小出血を生じない限度について検討を行う。
|
Causes of Carryover |
参加学会がWEB開催となり、当初予定していた旅費がかからなかっため次年度使用額が生じた。翌年度は学会参加も対面開催となり、燃料費高騰の影響で交通費が予定より高くなることが予想される。微小出血の評価後に実施する予定であった、舌清掃器具の違いによる潜血反応の検討について、検討する段階に到達しなかったため、舌粘膜を擦過する消耗品の購入がなく、次年度使用額が生じた。
|