2023 Fiscal Year Research-status Report
尿中タイチンN末端フラグメントを使用した虚弱高齢者の早期予測マーカーの構築
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22K17555
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
山口 翔大 慶應義塾大学, 体育研究所(日吉), 特任助教 (80896093)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | タイチンN末端フラグメント / サルコペニア / フレイル / 早期発見 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまで加齢に伴い運動器および身体機能が著しく低下したサルコペニアを早期発見するための生化学マーカーの探索に注力してきた。近年では、骨格筋の最小単位となるサルコメアの構成タンパク質となるタイチンのN末端の断片物が筋の異化に伴い尿中に漏出することが明らかになり、種々の筋疾患を同定するための生化学マーカーとして注目を集めている。したがって本研究では、サルコペニアを早期発見するための生化学マーカーとして尿中タイチンNフラグメント(Urinary titin N Fragment: UTF)を使用することの妥当性を確立することを目的とした。本研究の目的が達成されれば、高齢者の健康寿命の延伸に寄与することが想定される。 本年度は、65歳以上の高齢者50名を対象に尿サンプルの採取と、Asian working group for sarcopenia(AWGS)が規定した測定項目となる、歩行速度、四肢骨格筋量や、先行研究で実施された高齢者体力測定項目となる、Time up and goや、5秒間の椅子立ち上がりテストを実施した。また、15名を対象に伸張性収縮を強調したエキセントリックウォーキングを2ヶ月間介入し、その前後で尿サンプルと体力測定を実施した。採取したサンプルの分析は本年度で実施する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定した50名のサンプルの採取と運動介入が終了したため。分析が未実施であるため、概ね順調に進んでいる、とする。
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Strategy for Future Research Activity |
計画書通り、虚弱高齢者と健常な高齢者の尿と血液および体力値を取得したため、両群の比較を実施していく。今までの研究結果から、虚弱高齢者の方がUTFが高値を示す可能性が高く、体力値とも高い相関関係を有する可能性がある。この結果を年度末に学会または論文にて発表する予定である。
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Causes of Carryover |
昨年度、研究計画段階で予定していた分析を行わなかったことで試薬の購入がなく、支出が大幅に減る結果となった。使用しなかった資金は本年度に繰越し、タイチンの分析および論文投稿を進めていく。論文は、国際誌を考えており、高齢者の健康に関係する学術誌に投稿する予定である。
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