2022 Fiscal Year Research-status Report
視覚を用いた運動錯覚による運動学習への効果とその神経基盤の解明
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22K17569
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Research Institution | Chiba Prefectural University of Health Sciences |
Principal Investigator |
酒井 克也 千葉県立保健医療大学, 健康科学部, 助教 (30831565)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 視覚性運動錯覚 / 運動観察 / 脳活動 / 球回し回数 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は視覚性運動錯覚と運動観察における運動学習効果に差異があるかを健常人を対象にfNIRSを用いて検証することである。視覚性運動錯覚とは視覚刺激を用いて運動錯覚を誘発する方法である。運動観察は錯覚と同様の映像を用いるが、錯覚を感じないように被検者に運動を観察させる。プロトコルは健常人を対象に無作為に錯覚群と観察群に分けて、球回し課題を用いてそれぞれの条件前後でどのように球回し回数と脳活動が変化するのかを測定した。脳活動は機能的近赤外分光装置を用いて、主に運動に関連する領域を標的に測定している。早期の運動学習効果を検証するために、条件直後と条件1時間後に球回し回数と脳活動を測定している。現在、錯覚群と観察群に分け、29名の測定が終了した。予備解析を実施しており、概ね仮説通りの結果になっている。錯覚群は球回し回数が即時的に増加し、1時間後もその効果は維持しており早期の運動学習効果が認められている。観群も含めた解析を今後実施予定である。脳活動に関しては運動に関連する領域や頭頂領域で活動が増加または減少しており、運動学習過程による脳活動を反映しているものと推測している。今後は観察群も含めた解析を実施予定である。これらの成果を学会に提出しており、7月に国際学会で発表予定である。今後は目標人数まで測定を継続する予定であり、測定が終了次第すぐに解析と学会発表、論文執筆へ移行する。研究機関の変更により、物品の購入や消耗品の購入などが滞る可能性が高い。そのため、機関移行が出来次第すぐに発注を開始し、成果報告に向けて準備を進める。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在29名の測定を終えており、予備解析まで終了した。さらに、学会に抄録を提出した。概ね仮説通りの結果となっている。今後さらに測定を進め、目標人数までスムーズに測定が終了予定である。その後、直ちに解析を開始し、論文執筆に移行する。
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Strategy for Future Research Activity |
今回の予備解析の結果を踏まえ、標的とする脳領域だけで視覚性運動錯覚と運動観察の際を捉えらないかを検討している。解析の結果、標的とする脳領域だけでこれらの効果を捉えられそうであれば、機器を追加購入し、さらに実験を進める予定である。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は、当初購入予定であった機能的近赤外分光装置の前頭型キャップが共同研究施設側が予備の物をすでに購入済みであり、購入する必要がなくなったためである。その代わりに、ポータブルの機能的近赤外分光装置を購入したい。これは途中解析の結果、脳活動が生じている脳領域が限局しており、標的とした脳領域のみだけで本研究の条件間の差異を分析できる可能性がでてきたためである。
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