2023 Fiscal Year Research-status Report
糖尿病による排尿障害の克服、低出力体外衝撃波による新規治療法の確立
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22K17589
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
木村 隆 琉球大学, 病院, 助教 (50748019)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | 糖尿病 / 過活動膀胱 / 低活動膀胱 / 神経因性膀胱 |
Outline of Annual Research Achievements |
成人の死亡原因として糖尿病と腎不全の増加が著しい。糖尿病による膀胱機能障害は、膀胱尿管逆流、水腎といった上行性の腎不全誘発因子にも関わらず、糖尿病性腎症と比較して一般的に認知されていない。初期には過活動膀胱、末期には残尿を伴う低活動膀胱の相反現象が併存する不可逆的変化で、それゆえ薬剤抵抗性である。このような背景を踏まえ、糖尿病に伴う膀胱機能の経時的変化について糖尿病モデルラットを用いて生理学、組織学、薬理学的方面から解析することを目的とした。 まず糖尿病における膀胱機能の経時的な変化を研究するためにSprague-Dawley系雌性ラットにストレプトゾトシン(STZ) 65mg/kgを腹腔内投与し、それぞれ3日、2週、4週、8週、12週経過した糖尿病モデルラットを作製した。コントロール群の血糖が200台であるのに対してDMラット群ではそれぞれの週数で血糖が600台となって糖尿病を発症していることを確認した。基線圧、閾値圧、最大収期圧に経時的変化を認めなかったのに対して8週以降で排尿間隔が有意に延長し、残尿が増加する傾向を認めた。次に代謝ケージを使用して糖尿病3日、2週、4週、8週、12週目のSDラットにおいて、24時間の排尿及び飲水パターンを計測した。12時間ごとの明暗周期を設定して観察し、排尿量、排尿回数、飲水量を記録した。飲水量は糖尿病2週目以降で増加し、暗期で全般的に排尿回数が増加することが判明した。総排尿量は糖尿病3日、2週、8週で増加するのに対して1回排尿量は変化しなかった。膀胱内圧測定で週数とともに残尿が増加していることを踏まえると膀胱容量は増加するものの残尿が増加するため見た目の1回排尿量は増加していない可能性が考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
糖尿病ラットを作成し、持続膀胱内圧測定や代謝ケージを使用した研究を行うことができている。
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Strategy for Future Research Activity |
オーガンバスを使用した組織の機能性変化を追加で調査するとともに、24週の糖尿病ラットを作成し、さらに長期的な糖尿病の膀胱機能への変化を観察する。また組織学的評価として、膀胱筋層及び粘膜、繊維組織について経時的変化を確認する。
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Causes of Carryover |
今年度の研究は概ね予定通り遂行できている。初年度の実験が新型コロナの影響及び実験担当者の異動などで遂行できていなかったため繰り越しとなっている。 今後はオーガンバスを使用した組織の機能性変化を追加で調査するとともに、24週の糖尿病ラットを作成し、さらに長期的な糖尿病の膀胱機能への変化を観察する。また組織学的評価として、膀胱筋層及び粘膜、繊維組織について経時的変化を確認する。マグヌス装置など組織の機能評価に必要な物品の準備やKrebs液、カルバコール溶液などの各種薬剤、糖尿病作成のために必要なストレプトゾシンの購入及び新規のラット購入及びデータがそろった後に解析ソフトが必要になると思われる。
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Research Products
(8 results)