2022 Fiscal Year Research-status Report
若年女性の前十字靭帯損傷保存療法の再考‐リラキシンに着目した臨床応用に向けて‐
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22K17596
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Research Institution | Tokyo Kasei University |
Principal Investigator |
森下 佑里 東京家政大学, 健康科学部, 期限付助教 (60880440)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 膝前十字靭帯 / リラキシン / 自己治癒 / 女性 / スポーツ |
Outline of Annual Research Achievements |
近年の健康増進指向に伴い,若年女性の前十字靭帯(Anterior Cruciate Ligament: ACL)損傷が増加の一途をたどっている.その受傷率は,男性に比べ3~8倍高い.保存療法によりACLが自己治癒することが明らかになったことから,ACL損傷に対する保存療法の期待は高まっている.しかし,女性はリラキシンの存在により潜在的にACL損傷の発症リスクが高まるだけでなく,損傷後の治療やリハビリテーションの効果を十分に得られない可能性がある.そのため,本研究は,若年女性のACL損傷者に対する保存療法の治療効果を確立するため,リラキシンがACL損傷の治癒に及ぼすメカニズムとその拮抗薬投与による治癒プロセスを解明することを目的とする.この研究目的を達成するため,「若年女性の前十字靭帯損傷保存療法の再考‐リラキシンに着目した臨床応用に向けて‐」をテーマに,3年間の研究計画にて「治癒靱帯の機能回復」,「リラキシンとACL治癒メカニズム」の解明に向けた研究課題を遂行予定である. 初年度である2022年度は,「治癒靱帯の機能回復」の実証実験を完了した.本研究では,雌性対象に対する保存療法で得られた治癒靭帯の機能的な回復を検討するべく,治癒靭帯の線維構造評価と破断強度の測定を実施した.その結果,雌性対象における自己治癒靭帯の破断強度は雄性対象と同等であったものの,脛骨の前方変位量は雄性対象よりも増大していることを明らかにした.また,ラットにおいてもヒトと同様に雄性対象よりも雌性対象で関節弛緩性が高い可能性があることが示唆された.現在は「リラキシンとACL治癒メカニズム」として,リラキシンがACLの治癒に及ぼすメカニズムとその拮抗薬投与による治癒プロセスを解明するための予備研究を進めている段階である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度の進捗状況については,当初の計画通り進んでいる.
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Strategy for Future Research Activity |
リラキシンがACLの治癒に及ぼすメカニズムとその拮抗薬投与による治癒プロセスを解明するための予備研究終了後は,実証実験としてRLNを雄性および雌性対象に投与し,RLN投与がACL自己治癒に及ぼす影響をコラーゲン合成と破断強度に着目して明らかにする予定である.
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの影響により出荷規制がかかり,納期未定の入手困難となった物品が複数あったため.規制緩和に伴い購入が可能となるため,次年度以降に購入する予定である.
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