2023 Fiscal Year Research-status Report
慢性腰痛症例の体幹回旋方向の外乱に対する姿勢保持能力への運動療法による介入効果
Project/Area Number |
22K17605
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
大須賀 聡 北海道大学, 大学病院, 理学療法士 (90884180)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | 慢性腰痛 / 外乱動揺 / 姿勢 / リハビリテーション |
Outline of Annual Research Achievements |
慢性腰痛症例では体幹屈曲,伸展,側屈方向の外乱動揺において体幹筋反応の遅延が生じることが報告されており,体幹筋反応の遅延は腰痛症のリスクファクターの一つと考えられているが,体幹回旋方向の外乱動揺に対する筋反応に関しては明らかにされていない.本年度は慢性腰痛症例を対象として体幹回旋方向への外乱動揺に対する体幹筋反応の解析を行った. 対象は慢性腰痛症例15名(男性9名,女性6名),健常成人15名(男性10名,女性5名)とした.電磁石,フォースセンサを用いた外乱動揺装置を使用し,左回旋方向への外乱動揺を体幹部へ与えた.姿勢保持のための主動作筋を左外腹斜筋,右内腹斜筋,右胸部脊柱起立筋,左腰部脊柱起立筋とし,拮抗筋を右外腹斜筋,左内腹斜筋,左胸部脊柱起立筋,左腰部脊柱起立筋として,主動作筋群の活動開始時間と拮抗筋群の活動停止時間を算出した. 結果として,慢性腰痛症例の主動作筋群における活動開始時間は健常成人に比して有意に遅延することが明らかとなった(P < 0.001).一方で,活動停止時間は健常成人と有意な差は認められなかった(P = 0.055).解析に用いた筋ごとの比較においては,右胸部・腰部脊柱起立筋の活動開始時間が有意に遅延した(P = 0.010,P = 0.043). 本結果より,慢性腰痛症例において体幹回旋方向への外乱動揺に対する体幹筋反応が有意に遅延することが明らかとなった.このような体幹筋反応の遅延は腰痛症の慢性化に寄与する可能性がある. 次年度は外乱動揺に対する体幹筋活動を変化させるための介入研究を行う予定である.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
慢性腰痛症例を対象とした外乱動揺課題の計測は順調に進行し,筋活動データおよび体幹動揺を評価するためのキネマティクスデータを取得した.予定していた計測データは取得できており概ね順調に進行している.
|
Strategy for Future Research Activity |
今年度解析した筋活動の遅延が実際の体幹動揺との関連が認められるかは不明であるためにキネマティクスデータの解析を進める.また,運動療法による介入研究を進め,データを収集し関連学会や論文にて公表する.
|
Causes of Carryover |
論文投稿費用が不足する可能性を考慮して前倒し申請を行った金額が不要であったため.次年度はさらなるデータ収集にともなう謝礼,関連学会参加のための旅費,論文投稿費に使用する予定である.
|