2023 Fiscal Year Research-status Report
嚥下CTを用いた食塊の流体力学的特性と流動メカニズムの解明
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22K17608
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
勢井 洋史 山形大学, 工学部, 研究員 (40601034)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 嚥下CT / 伸長粘度 |
Outline of Annual Research Achievements |
増粘剤を混ぜた液体のとろみは、2021 年に日本摂食嚥下リハビリテーション学会が発表した嚥下調整分類 2021で「薄いとろみ」「中間のとろみ」「濃いとろみ」の 3 段階に分類されている。この分類はせん断粘度を主な指標の 1 つとしている。せん断速度 50 s-1 は、口腔内でのせん断速度の値に近いが、咽頭を通過するときのせん断速度は50 s-1 より格段に大きい。したがって、咽頭を通過するときのせん断粘度の値は学会基準の値よりも小さくなる.以上のことから、とろみの分類において粘度の指標がせん断粘度だけでは不十分であると考える。また液状食品が咽頭を通過する時、せん断流動と伸長流動の両方が存在する流れになっているので、伸長粘度も考慮することが望ましい。伸長粘度は液状食品の粘度特性として、せん断粘度と同じように重要であることが考えられているが、伸長粘度の測定には適切な測定装置がないため測定が困難であり測定例も少ない。そこでまず、伸長粘度の点からとろみの分類を検証するために、市販の増粘剤の一軸伸長粘度を測定した。今回,以下の結論が得られた。 ・予備実験で作成した装置で、非ニュートン流体の伸長粘度を測定することができた. しかし、伸長粘度が非常に高い場合はその測定は困難であった。そのため別の理論を用いた実験装置が必要である。 ・非ニュートン流体の伸長粘度と濃度の関係については、濃度が増すほど伸長粘度が大きくなる傾向があるが、試料によっては伸長粘度の値に上限がある。 ・非ニュートン流体の伸長粘度とヘンキーひずみについては、ヘンキーひずみが大きくなる中で伸長粘度が増加、減少するという変化を示した。 ・異なる試料が同様なせん断粘度特性を示しても、伸長粘度特性は異なる可能性があることがわかった。そのためとろみの段階の分類には伸長粘度も考慮するべきである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
予備実験の調整に時間を要したため
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Strategy for Future Research Activity |
臨床データ、おもに嚥下CTのデータ解析を行う
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Causes of Carryover |
研究の進捗状況が遅れているため、次年度にデータ解析やデータ保存用に使用する金額を繰り越した。
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