2023 Fiscal Year Research-status Report
摂食嚥下障害を有する高齢心不全の臨床的特徴と予後に関する検討
Project/Area Number |
22K17610
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
角谷 尚哉 札幌医科大学, 保健医療学部, 訪問研究員 (90593484)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 心不全 / オトガイ舌骨筋 / 摂食嚥下障害 / 最大舌圧 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、入院高齢心不全患者に併発する摂食嚥下障害の早期発見に有用な評価方法を検討することを目的に研究に取り組んだ。入院早期に各種評価をおこなう必要があるため、重症例や意識レベルの低下から研究参加の同意が取得できないものも一定数いたが、40名の入院高齢心不全患者を登録することができた。 今年度は入院期間中に評価した項目を解析し、①入院心不全患者は急性心不全の症状や治療内容の影響で摂食嚥下機能が一時的に低下したり、食形態を意図的に変更する症例がおり、広く用いられている反復唾液嚥下テストやFood intake level scale では入院早期の摂食嚥下機能評価の妥当性が低下すること、②入院時にCTで評価したオトガイ舌骨筋の筋断面積は退院時の最大舌圧と有意な正の相関関係を示すこと、③CTで評価したオトガイ舌骨筋の筋断面積は、年齢、性別、身長、骨格筋量で調整しても退院時の摂食嚥下障害(最大舌圧 <20kPa)と関連することを明らかにした。特に、骨格筋量を調整変数に含めてもなおオトガイ舌骨筋の筋断面積が摂食嚥下障害に影響を与えるということは、四肢骨格筋と独立して摂食嚥下関連筋群の筋萎縮が生じていることを示唆する結果であった。 これらの結果により、急性心不全患者が入院時に撮影するCTの撮像範囲にオトガイ舌骨筋を含めることの有用性を示すことができた。また、入院高齢心不全患者に併発する摂食嚥下障害を早期発見することで、入院中の食形態を選択する判断基準や誤嚥性肺炎の対策、言語聴覚士の介入の必要性を判断する指標となると考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
対象者の登録は計画通り進んでおり、入院期間を対象とした解析では仮説を指示する結果が得られた。今年度の研究成果は国際誌に投稿予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は入院から退院までの期間を対象に、摂食嚥下障害の早期発見に着目して解析をおこなった。今後は、退院後1年間の有害事象の発生状況を調査する。また、摂食嚥下障害と身体機能の関連など多面的に解析を行うことで、摂食嚥下障害の有する高齢心不全患者の特徴を明らかにしていく。
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Causes of Carryover |
国際学会での成果報告を計画していたが、データ収集不足しており発表することができなかった。 次年度は、予後を含めた研究成果を国内で報告するとともに、国際誌への投稿に関係する費用にあてる。
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