2022 Fiscal Year Research-status Report
統合失調症入院患者の退院後の社会生活状況を予測する精神科作業療法評価尺度の開発
Project/Area Number |
22K17615
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Research Institution | Kyorin University |
Principal Investigator |
長島 泉 杏林大学, 保健学部, 助教 (20713548)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | 統合失調症 / 精神科作業療法 / 精神科リハビリテーション / 社会生活 / 評価尺度 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,入院時に精神科作業療法(Occupational therapy, OT)を行った統合失調症患者の退院後1年間の社会生活状況を後方視的に調査し,その違いに対する精神科OTプログラムの組み合わせと患者の行動特徴の影響を分析・検討する.そして,患者の退院後の社会生活状況を予測する精神科OT評価尺度を開発することを目的としている. 2022年度は,まず過去に入院した患者の情報および所見を収集し,退院後の社会生活状況(就労や通所型医療機関への通所等)を後方視的に調査し,社会生活状況の違いに対する精神科OTプログラムの組み合わせを検証することとした.検証にあたり,情報収集の対象を2016年2月から2020年3月までに当院に入院し,精神科OTの処方を受けた患者全例とした.実臨床では,精神科OTは統合失調症のみならずうつ病,双極性障害などをセッション内で一様に対象とする疾患横断的な療法である.そのため,統合失調症患者のみのデータを収集して解析を行うよりも,患者全例を対象とした方が,社会生活活動状況に対する精神科OTプログラムの影響についての疾患による違いや実臨床が反映され,より研究目的に合致すると考えた.この検討には,当院精神神経科医師や臨床心理士からの協力も得た.結果的に情報収集の対象数が6倍以上に増えたため,データ解析開始が遅れることとなった.また,年度内には日本精神神経学会に参加し,研鑽した. 現在は,患者の情報収集・入力・確認作業を完了させ予備解析を実施している.先の検討通り,社会生活活動状況に対する精神科OTプログラムの影響についての疾患による違いを明らかにし,今年度は各学会にて発表し,論文公表を行う予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
情報収集の対象患者数を増やしたことによりデータ解析の開始時期が遅れてしまった.加えて,新型コロナウイルス感染症パンデミックは収束にいたらず,院内感染対策により制限された精神科OTセッションの実施を余儀なくされていることから,評価尺度を用いた精神科OTの開始時期を検討中である.
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Strategy for Future Research Activity |
全体のスケジュールとしては遅れているものの,データ解析は間もなく完了するため,学会発表,論文公表を経て,精神科OT評価尺度を作成したい.
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Causes of Carryover |
データ収集期間が長引いたことから,すでに入手済みの機器にて遂行することができたため,予算計上していた物品費を使用する機会がなかったこと,所属機関の方針にて学会参加への見合わせなどが生じたことなどから,次年度使用額が0よりも大きくなった.次年度には,データ解析に必要な機器の購入,学会参加や印刷公表に関わる諸経費として繰り越して使用する計画である.
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