2022 Fiscal Year Research-status Report
脳梗塞後の非障害大脳半球の皮質網様体路が痙性に関与する可能性の同定
Project/Area Number |
22K17621
|
Research Institution | Toyohashi Sozo University |
Principal Investigator |
中村 佳代 豊橋創造大学, 保健医療学部, 講師 (70800572)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | 脳梗塞 / 痙縮 / 皮質網様体路 / 脳卒中 / 光遺伝学 / リハビリテーション |
Outline of Annual Research Achievements |
脳梗塞直後は、骨格筋の弛緩による弛緩性麻痺となるが、その後、骨格筋が硬直する痙性麻痺が生じることが多い。痙性は脊髄反射の1つである伸張反射の過興奮性を伴い、関節が受動的に伸ばされたときに速度に依存して抵抗が増加する現象を特徴とする。伸張反射の過興奮に加えて、上位中枢においても障害皮質からの経路の損傷により脳幹を起始とする脊髄路の興奮性の変化が痙性に関わっている証拠も多く報告されている。近年では、非障害領域の皮質網様体路からの入力を受ける網様体脊髄路の興奮性の変化が痙性に関与している可能性が示された。そこで本研究では、非障害領域の皮質網様体回路に着目し、この回路の興奮性増加が痙性の直接的な発生機序になり得るかを明らかにしていく。本研究の成果により、痙性に対する皮質網様体路を標的とした治療法の開発や、障害肢(手足)の機能を的確にトレーニングする新規リハビリ法の確立を目指す。 本研究では脳梗塞病態モデルマウスと光遺伝学を組み合わせ、痙性に対する脳梗塞後の皮質網様体回路の役割について検討していく。2022年度は非障害皮質の光刺激領域を特定するため蛍光トレーサーを用いて皮質脊髄路の確認を行った。また障害皮質における脳梗塞作製の方法(光感受性色素と緑色光線(532nm波長))と非障害皮質の光刺激の方法の両方を実施する実験手順について実際の動物を用いて検証した。さらにこの実験で用いる病態モデルマウスの運動機能の変化が、これまで報告されている一般的な過程と相違ないかを確認するためにBeamテストおよびReachテストを実施した。 コロナ禍における物価高騰を考慮し、初年次に計画した必要機器および装置の購入は一時見合わせた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2022年度は非障害領域の光刺激領域を特定するため蛍光トレーサーを用いた皮質脊髄路の確認を行った。申請者の技術面の問題もあり、マウスの脳で皮質脊髄路を特定することに時間を要した。また障害皮質における脳梗塞作製の方法(光感受性色素と緑色光線(532nm波長))と非障害皮質の光刺激の方法について、実際の動物を用いて確認し、本研究の目的に合わせるため改善を繰り返した。また、脳梗塞病態モデルマウスの運動機能の変化は複数の行動テスト(BeamテストおよびReachテスト等)を用いて多角的に検討した。
|
Strategy for Future Research Activity |
まず、初年次に一時見合わせた必要機器および装置(頭部光刺激装置と筋電気刺激装置 等)の購入を計画していく。その後、先行研究(Hoffmann,1910)による手法を用いて、電気刺激により標的とした筋の脊髄興奮性を示す波形(Hoffmann反射(H反射))の検出を試みる。安定した波形が検出でき次第、非障害皮質の光刺激による表現型の検出を試みる。初年度に確立した実験方法は上記を加えて実践し改良を重ねていく。
|
Causes of Carryover |
初年次に購入を予定した必要機器および装置は予算内に収めるためセットで購入する必要があった。2023年度はまず機器および装置の購入を計画していく。それと並行して、2022年度に実施した実験方法や手順の改良を継続するため、引き続きマウスおよび消耗品等の購入を計画していく。
|