2023 Fiscal Year Annual Research Report
荷重量の制御により膝前十字靭帯再建後の変形性関節症を予防する
Project/Area Number |
22K17625
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Research Institution | Hiroshima International University |
Principal Investigator |
金口 瑛典 広島国際大学, 総合リハビリテーション学部, 講師 (10826704)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 前十字靭帯再建 / 変形性膝関節症 / リハビリテーション / 荷重 |
Outline of Annual Research Achievements |
前十字靭帯損傷後にはしばしば二次性の変形性膝関節症が生じる。前十字靭帯損傷に対する主な治療法は靱帯再建術であるが、靱帯再建術だけでは変形性関節症を予防することはできない。本研究では、前十字靭帯再建術後早期の荷重量の違いが変形性関節症の発症や進行に及ぼす影響を調べることで、変形性関節症予防に効果的なリハビリテーションプロトコルの確立に貢献することを目的とした。 ラットの膝関節に前十字靭帯切断および再建術を行い、術後は免荷(非荷重)、介入なし(荷重量少)もしくは持続的なモルヒネ投与(荷重量大)のいずれかの条件で術後1もしくは2週まで飼育した。実験期間終了後、脛骨プラトーの関節軟骨の変性を組織学的に評価した。前十字靭帯再建後、介入なしで飼育すると術後2週までに軽度な軟骨の変性が生じた。術後に免荷を行うと、介入なしと比較して軟骨の変性が悪化した。術後にモルヒネを投与することで荷重量を増加させても、介入なしと同程度の軟骨の変性が生じた。これらの結果から、軟骨変性を軽減するためには、たとえ部分的であっても前十字靭帯再建後早期から荷重を行うことが重要であることが示唆される。 次に、前十字靭帯再建後の免荷による軟骨変性は再荷重により回復するのかどうかを調べた。ラットの膝関節に前十字靭帯切断および再建術を行い、術直後から2週間免荷を行った。その後、2もしくは10週間の再荷重を行った。実験期間終了後、脛骨プラトーの関節軟骨の変性を組織学的に評価した。2週間の免荷により誘導された軟骨の変性は、10週間の再荷重を行っても改善しなかった。この結果は、術後短期間の免荷による軟骨変性は、長期間の再荷重後も改善しないことを示唆する。
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