2022 Fiscal Year Research-status Report
Effect of divergence between body schema and body image on gait relearning
Project/Area Number |
22K17630
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
内富 寛隆 東京工業大学, 情報理工学院, 特任助教 (30886932)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | 身体図式 / 身体像 / 歩行運動 / 運動再学習 / 認知運動療法 / 人工知能 / 運動計測 / 身体化感覚 |
Outline of Annual Research Achievements |
脳の認知過程への介入による運動再学習を行う認知運動療法では、脳内の身体像と身体図式が重要である。身体像は自身の身体に関するイメージであり、身体図式は体内の深部感覚情報と身体運動をマッピングする潜在的脳内機能である。身体運動のリハビリにおいて、身体像と身体図式の乖離の改善が必要であるが、乖離がどのように発生するのか、そして運動再学習過程にどのような影響を与えるのかについては未だ十分に解明されていない。本研究では、身体図式と身体像の乖離が運動再学習過程に及ぼす影響を解明することを目的とし、第1年度(2022年度)は、研究項目1「歩行運動における身体図式と身体像の乖離の評価」と研究項目2「身体図式と身体像の乖離に基づく外的フィードバックが歩行運動に及ぼす影響の分析」を並行して進めた。 研究項目1では、身体像に関連する自己や他者の身体認知が仮想現実感技術・拡張現実感技術によって変化した際、身体運動、脳内活動、及び内観報告がどのように変化するかを実験的に調査した。その結果、自己身体認知の相違に応じて実験参加者の運動特性が変化し、他者の仮想身体の人間らしさの度合いが実験参加者の脳波特性に影響したことがそれぞれ示唆された。また、アバターと実験参加者の運動が連動することによって、実験参加者がアバターに対して身体化感覚を持つことが示唆された。 研究項目2において、外部からのフィードバックを反映させるシステムの要素技術として、身体運動の計測技術の構築を進めた。具体的には、IMUセンサを用いて人間の下半身の各関節位置の位置関係からなる骨格モデルを推定するシステムの要素技術の研究開発をすすめた。また、外部からのフィードバックの例として、協調歩行におけるリズムの協調性が歩行運動特性に及ぼす影響についても分析を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究項目1「歩行運動における身体図式と身体像の乖離の評価」と研究項目2「身体図式と身体像の乖離に基づく外的フィードバックが歩行運動に及ぼす影響の分析」を並行して進めた。研究項目1においては、第一歩として、身体図式と身体像の乖離の評価に有用と考えられる特性を身体運動、脳内活動、及び内観報告のそれぞれの観点から調査が実施された。また研究項目2においては、フィードバックを反映させるシステムの要素技術の開発に着手済みである。したがって、達成度をおおむね順調に進展していると評価する。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度においては、更に研究項目1「歩行運動における身体図式と身体像の乖離の評価」と研究項目2「身体図式と身体像の乖離に基づく外的フィードバックが歩行運動に及ぼす影響の分析」を更に並行して進める。具体的には、研究項目1においては、認知運動療法でみられる運動のリハビリにおける患者と療法士のインタラクションが身体運動、脳内活動、及び内観報告にどのような影響を及ぼすのかを更に調査する。また研究項目2においては、外的フィードバックを更に構築すると共に、運動への介入とその評価に関する実験に着手、推進する。
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Causes of Carryover |
当初計画においては、人間運動モデル計算用のワークステーションおよびソフトウェアの購入を予定していた。しかし、研究室の共用資産を用いて、本提案に基づく第一歩としてのシステムの実装および実験の実施を推進するにいたった。また、当初計画していた学会参加などもウェブ開催などが増え、結果的に旅費を含めた費用の使用が抑えられた。今後、ソフトウェアの独自改良や実験の更なる実施、および研究成果発表のための旅費などにおいて費用が必要になると考えられることから、今後の研究費用として活用する予定である。
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Research Products
(5 results)