2022 Fiscal Year Research-status Report
長時間座位がもたらす腎動脈の血流変動とその機序の解明
Project/Area Number |
22K17640
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Research Institution | Niigata University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
田宮 創 新潟医療福祉大学, リハビリテーション学部, 助教 (40724737)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 長時間座位 / 血圧 / 交感神経 / 腎動脈の血行動態 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,座位行動に伴う交感神経の活性化が①血圧上昇,腎動脈の血流制限に与える影響を明らかにし,その機序を解明すること,②座位行動の中断が,交感神経,血圧,腎動脈の血流に与える影響を明らかにすることである.腎臓病の医療保険支出は5%まで上昇しており,厚労省も重症化予防の対策に取り組んでいるが,有効な介入方法は確立されていない.これは医療費が増大する本邦において,解決すべき喫緊の課題である.申請者は座位行動を減らす取り組みが健康増進や,血管疾患の発症予防だけでなく,腎臓病患者における新たな腎保護戦略になる可能性が高いと考えており,本研究の仮説を検証することで,これを解決できる. 2022年度は,16名の健常若年男性を対象に,座位行動が全身の循環動態と交感神経活性に及ぼす影響を検証した.研究デザインは無作為化クロスオーバーデザインであり,臥位条件(対照群)と座位条件(座位群)を設定し,各条件を3時間負荷した.各条件の施行順序はランダムとし,1週間以上のウォッシュアウト期間を設けた.両群において,血圧(収縮期,拡張期,平均血圧),心拍数,下腿周囲長等を1時間ごとに計測した.心電図と心拍解析プログラムを用いて心拍間隔を周波数解析し,低周波/高周波の比を交感神経活動の指標した. 結果,座位群において,血圧(拡張期,平均血圧),心拍数,交感神経活性,下腿周囲長が有意に増加した.このことから,長時間の座位に伴い,交感神経が活性化し血圧を増加させることが示唆された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
16名の健常若年男性を対象に,長時間の座位が交感神経活性と血圧上昇を引き起こすことを明らかにできた.これは,当初からの仮説を支持する内容であるため,研究は概ね順調に進展している.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,座位行動による腎動脈の血行動態の変化を捉え,血圧上昇の機序を探ること,座位行動を中断することが,全身の循環動態などにどのような影響を与えるかを明らかにする.
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Research Products
(6 results)