2022 Fiscal Year Research-status Report
疎性結合組織から考える股関節の運動療法革新に向けた解剖学的基盤研究
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22K17645
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Research Institution | Morinomiya University of Medical Sciences |
Principal Investigator |
堤 真大 森ノ宮医療大学, インクルーシブ医科学研究所, 助教 (10821853)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 股関節包 / 疎性結合組織 / FABERテスト |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は、関節包前面における疎性結合組織の動態を解析しScientific Reportsに受理された。FABER テスト(Patrickテスト)は、検査側の踵を対側の膝上に置き、股関節を開排(屈曲・外転・外旋位へ誘導)する疼痛誘発検査であり、股関節痛の評価として広く用いられている。一方で、FABER テストが股関節の何を評価しているのか、特に軟部組織においては明らかとなっていなかった。我々の研究グループでは、①股関節包の形態が関節肢位によって変化し、安定性への寄与が変化すること(Tsutsumi et al., 2021 Clinical Anatomy)、②股関節前面痛症例で変性を起こすことが報告されている疎性結合組織が、関節包前面で大腿直筋深層・腸腰筋外側・小殿筋内側の空間に広がっていることを明らかにしてきた(Tsutsumi et al., 2021 Scientific Reports)。そこで、FABERのテスト肢位をとった際に、関節包やその前面を広がる疎性結合組織の形がどのように変化するのか、in vivoで明らかにすることを目的として研究を行った。若年健常成人を対象とし、Open MRIを用いて解析を行った。FABERのテスト肢位は股関節45度屈曲位、伸展15度位と比較し、関節包の内腔面積が有意に大きくなる、すなわち関節包が緩んだ肢位であることが明らかになった。また、関節包前面と大腿直筋深層・小殿筋内側・腸腰筋外側を占める疎性結合組織の空間も、FABERのテスト肢位が最も広がることが明らかになり、関節包と関節包周囲筋が十分に動いた結果として疎性結合組織の空間が広がると解釈された。今後はこれらの解剖学的変化が、FABER テスト時の可動域制限や疼痛と関連するのか、明らかにしていく必要があると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
2022年度に予定していた、関節包前面における疎性結合組織の局在と組織性状に関し、2021年度中に論文として成果報告することができ、本年度は関連内容を学会発表することができた。2023年度に予定していた、疎性結合組織の動態についてのMRI研究を前倒しで行うことができ、論文が受理された(Scientific Reports)。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度より開始予定であった、疎性結合組織の関節周囲筋と連動した滑走性における意義について、若年健常者を対象にエコーを用いて解析予定である。
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Causes of Carryover |
概ね研究計画通りの助成金使用となったが、誤差程度の残余が発生した。2023年度の消耗品購入に、使用する予定である。
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Research Products
(7 results)