2022 Fiscal Year Research-status Report
ハムストリングのスタティックストレッチが高速疾走中の遊脚キネティクスに与える影響
Project/Area Number |
22K17674
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
尾崎 雄祐 広島大学, 人間社会科学研究科(教), 助教 (80909094)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | スプリント / スタティックストレッチ / キネマティクス / ハムストリング / 肉離れ / ノルディックハムストリング |
Outline of Annual Research Achievements |
まず、ハムストリングへの120秒間の静的ストレッチングが、最大疾走速度局面における時空間的変数、およびスイング後期の下肢キネマティクスに与える急性効果を検討した。また、その急性効果とノルディックハムストリング筋力との関係を調査した。その結果、静的ストレッチは、直後の最大疾走速度の低下とともに、接地瞬時における同側のハムストリングの理論長増大をもたらした。加えて、ノルディックハムストリング筋力が低いほど、疾走速度の低下が顕著だった。この結果は、ハムストリングの肉離れリスクを低減させるノルディックハムストリングに、傷害予防のための静的ストレッチによる負の影響を減らす可能性があるという新たな利点をもたらす意義がある。 さらに、ノルディックハムストリング筋力と、最大疾走速度局面における時空間的変数、およびスイング後期の下肢キネマティクスの関係を調べた。その結果、ノルディックハムストリング筋力が低いほど、疾走時の接地瞬時において同側の股関節がより伸展しており、支持期中の身体重心の推進距離が短い傾向があった。この結果は、疾走時のキネマティクスから、ノルディックハムストリング筋力の乏しさを推測する手がかりとなる。 これらの成果は、最大疾走速度がパフォーマンスに関わり、ハムストリングの肉離れが多発するスポーツ現場のコーチ、理学療法士等にとっての、静的ストレッチング、およびノルディックハムストリング導入指針として重要な指針となり得る。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画の半分が遂行され、その成果をまとめた論文をジャーナルへ投稿する準備ができているため。また、今後の研究計画の準備も順調に進んでいるため。
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Strategy for Future Research Activity |
ハムストリングへの継続的なスタティックストレッチによって、最大疾走速度やスイング後期の遊脚キネマティクスがどのような影響を受けるかを検討する。また、ハムストリングのスタティックストレッチと筋力トレーニングによる長期介入によって、最大疾走速度と疾走時の遊脚キネマティクス、および時空間変数がどのように変化するか事例検討する。
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Causes of Carryover |
価格の高騰により、光学式モーションキャプチャー用のカメラを必要数購入することが困難となったため。次年度使用額と合わせて、3次元DLT法に適したカメラの新調、および筋力トレーニング介入に必要なトレーニング器具の購入のために使用予定である。
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