2023 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
22K17684
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
内田 昌孝 立命館大学, 総合科学技術研究機構, プロジェクト研究員 (40779063)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 腸内環境 / トレーナビリティー / 骨格筋 / 代謝 |
Outline of Annual Research Achievements |
運動トレーニングによる生体の適応メカニズムは様々な検討がなされているものの、腸内細菌叢との関連性を検討した研究は少ない。そこで、本研究では、運動による生体適応を介した運動パフォーマンス向上に対する腸内環境の影響を検討することを目的として研究を実施している。本年度は、運動トレーニングを行ったマウスの腸内細菌叢を他の個体に便移植することで、腸内細菌叢が運動トレーニングの効果に直接貢献するか否かを検討した。すなわち、腸内細菌叢を介した運動トレーニングのパフォーマンス向上効果の可能性について検討した。 実験動物はマウスを用いた。マウスは、安静便移植群 (S)および有酸素性運動トレーニング便移植群 (Ex)の2群に分けた。移植便は、S群が8週間安静飼育したマウスの盲腸便を、Ex群が8週間の有酸素性運動トレーニングを行ったマウスの盲腸便を用いた。各群のマウスは、1週間の抗生剤投与による腸内細菌の除菌期間を設けた後に、週1回の便移植を3週間行い、その後4週間飼育し、トレッドミルを用いて疲労困憊に至るまでの運動継続時間を測定した。さらに、腓腹筋のクエン酸合成酵素(CS)活性を測定した。 体重および摂食量に両群間で有意な差は観察されなかった。さらに、左心室重量と脂肪重量にも有意な差は観察されなかった。一方で、運動継続時間はS群に比べてEx群で有意に高い値を示した。さらに、腓腹筋CS活性はS群に比べてEx群で有意に増加した。 腸内細菌叢は、骨格筋の代謝を向上させることで、有酸素性運動トレーニングによる持久性運動能力向上に関与する可能性が示唆された。 現在は、筋量が増加する有酸素性運動トレーニングを実施したマウスの骨格筋を解析することで骨格筋の適応に対する腸内細菌叢の影響を検討している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
抗生剤処理を行ったマウスを用いた、運動トレーニング効果と腸内細菌叢の関連性を明らかにする実験を行った後、運動トレーニングによる持久性運動能力向上に対して、腸内細菌叢が骨格筋の代謝を制御することで関与することを明らかにした。また、腸内細菌叢が運動トレーニングの効果に直接貢献することを検討するために便移植実験を実施後、その骨格筋のエネルギー代謝を解析し、運動トレーニングよって変化した腸内細菌叢が持久性運動能力向上に関与するメカニズムを解明した。 本年度内に本研究内容の一部は、論文化を実施し、The Journal of Physiology (Impact factor: 6.2)に掲載された。さらに、本研究論文は、生体の運動適応に対する腸内環境の新たな生理学的役割を明らかにしたことが評価され、The Journal of Physiology のEditors Choiceに採択された。研究の高度化により影響力のある学術誌に掲載されることとなった。 論文掲載にあたり、追加実験や腸内細菌叢のより詳細な解析が必要となり、論文化が想定よりも遅れ、骨格筋の肥大に関する解析が遅れてしまっている。また、骨格筋と腸内細菌叢との関連性を解析していく過程で想定していたよりも複雑な関連性を示していたことから、若干の遅れが生じている。 現在までに追加解析や腸内細菌叢との関連性の解析を実施しており、次年度では骨格筋内の筋肥大に関する因子と腸内細菌叢との関連性の解明を目指すことで、運動トレーニングによる骨格筋肥大に対する腸内細菌叢の影響を明らかにする予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
運動トレーニングによる有酸素性運動能力の適応に対する腸内細菌叢の影響やメカニズムは徐々に明らかになってきているものの、運動トレーニングによる骨格筋の適応に対して腸内細菌叢がどのように関与するかは明らかではない。そこで、今後は、筋量が増加する有酸素性運動トレーニングを実施したマウスの骨格筋を解析することで骨格筋の適応に対する腸内細菌叢の影響を検討していく予定である。 解析にはマウスの骨格筋を用いる。マウスは蒸留水摂取+安静群、蒸留水摂取+運動トレーニング群、抗生剤摂取+運動トレーニング群の3群に分け解析を実施する。運動トレーニング群は、10%傾斜のトレッドミル走を週5日、60分間、8週間実施する。運動トレーニング期間中、腸内細菌叢を変化させるため、抗生剤摂取群は抗生剤含有水を自由飲水とする。介入後、トレッドミルを用いて疲労困憊に至るまでの運動継続時間を測定する。さらに、骨格筋重量を測定するとともに、腸内細菌叢のメタゲノム解析を行うい、運動トレーニングによる骨格筋の変化と腸内細菌叢の変化を比較検討する。はじめに、運動トレーニングの腸内細菌叢への影響を検討するため、安静群と運動トレーニング群の骨格筋重量の変化と腸内細菌叢の変化を解析し、運動トレーニングの影響を検討する。さらに、運動トレーニング群に抗生剤を投与することでの骨格筋の変化を検討することで、骨格筋の運動トレーニング適応に対する腸内細菌叢の関連性を検討していく。 さらに、運動トレーニングによる骨格筋の適応に対する腸内細菌叢の直接的関与を検討するため便移植実験の骨格筋の解析も行う予定である。骨格筋の運動適応に対する腸内環境役割を解明し、研究の高度化を推進する予定である。
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Causes of Carryover |
当該年度において、本研究内容の一部を論文化するにあたり、追加実験や腸内細菌叢のより詳細な解析が必要となり、論文化が想定よりも時間がかかったため、骨格筋肥大に関する解析が遅れてしまっている。このため骨格筋の解析を行うための消耗品の予算執行に遅れが生じてしまった。次年度において、骨格筋の適応と腸内細菌叢の関連性を明らかにするために骨格筋肥大関連因子の解析や腸内細菌叢解析費用として使用する予定である。
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[Presentation] 異なる運動強度の一過性運動による唾液中の免疫グロブリンAおよびlactoferrin分泌応答2024
Author(s)
伊藤嶺汰, 内野崇雅, 内田昌孝, 藤江隼平, 家光恵子, 小島千尋, 中村真理子, 清水和弘, 谷村祐子, 篠原靖司, 橋本健志, 伊坂忠夫, 家光素行
Organizer
第153回京都滋賀体育学会大会
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