2022 Fiscal Year Research-status Report
Individual player development for children in goal games
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22K17691
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
中山 紗織 筑波大学, 体育系, 助教 (10912561)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 発育発達 / ハンドボール / 韓国 / 選手育成 |
Outline of Annual Research Achievements |
ゴール型球技は、12-15歳頃からの専門化が推奨されている後期専門化スポーツに分類される。しかし、日本では小学生年代での勝利至上主義、すなわち早期専門化が問題視されている。その解決策として、小学生年代では長期的な視野に立った「個の育成」が目指されているが明確な定義はない。そのため、 指導者は各々が持つ独自の考えを基に選手を育成しており、育成活動に大きな変化はないのが現状である。本研究者は、これまでに日本およびドイツの取り組みを事例的に明らかにしている。今後、日独とは異なる方法で選手を育成している国外の取り組みを対象に「個の育成」について調査することは、これまでとは異なる側面から「個の育成」を捉え、既存の説明の枠組みでは通用しない考え方の理解へと繋がり、現場の指導者に役立つ知見が得られると考える。 令和4年度は、韓国の小学生ハンドボールコーチを対象に、「個の育成」についてインタビュー調査を実施した。また、そのコーチが指導しているチームの練習および公式戦を視察することによって、育成の方針とその成果としてのゲームパフォーマンスを調査した。 「個の育成」における目標像となるような世界トップレベルの選手(韓国、ノルウェー、ロシアそれぞれ1名)のプレーについては、記述的ゲームパフォーマンス分析を用いて明らかにした。この研究成果については、国際学会において口頭発表した。「個の育成」に影響を及ぼすと考えられる指導環境については、暴力・ハラスメントなどの不適切なスポーツ指導根絶へ向けた実態調査を行った。競技環境については、小・中学校期における大会使用球の大きさ・質量・材質の変更による影響を全国大会の記述的ゲームパフォーマンス分析および中学生に対するアンケート調査によって明らかにした。これらの研究成果については、国内・国際学会において口頭発表し(6件)、査読付き論文(2件)が採択された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和4年度には、韓国で活動するコーチを対象にインタビュー調査を、そのコーチが指導するチームを対象に練習見学および公式戦でのゲームパフォーマンスを分析することができた。これらの調査から、小学生年代を対象としたコーチングについて日本とドイツとは異なる視点から考察を行うことが可能となった。さらに、令和5年度実施を予定しているノルウェーおよびデンマークの取り組みについてのデータ整理にも着手することができた。これらのことから、本申請研究は現時点でおおむね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
令和5年度(研究2年度目、最終年度)は、ノルウェーおよびデンマークで活動しているコーチを対象にインタビュー調査を実施し、そのコーチが指導するチームの練習および試合を視察する予定である。具体的な調査・分析方法については、コーチのインタビュー調査における発言内容を文字におこし、精読後、それを事例研究法を用いて質的に分析する。続いて、インタビュー対象者ごとに個別事例としてまとめる。最後に、各事例における共通点および相違点に着目して検討し、「個の育成」についてまとめる。これらの研究成果に関しては、Asia Conference on Kinesiologyなどにおいて口頭発表するとともに、国際誌に投稿する。
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Causes of Carryover |
令和4年度は、事前の計画よりも進展があったため、令和5年度に実施予定であった国外での調査を実施することができた。それに伴い、令和5年度分の予算20万円を前倒し支払い請求した。しかし、得られた調査結果の集約について予定より時間を要しているため、令和4年度中での国際誌への投稿が叶わなかった。そのため、令和4年度分として申請していた英文校正代(約3万円)、論文投稿費(約3万円)、英語翻訳ツール(DeepL年間契約2万円)を翌年度分として使用する予定である。
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Research Products
(11 results)