2022 Fiscal Year Research-status Report
バランストレーニングにおけるセルフコントロールの効果とそのメカニズムの解明
Project/Area Number |
22K17726
|
Research Institution | Mejiro University |
Principal Investigator |
秋月 千典 目白大学, 保健医療学部, 専任講師 (00748957)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | バランストレーニング / 運動学習 / 内発的動機づけ / セルフコントロール / 情報処理 |
Outline of Annual Research Achievements |
練習条件や練習環境の一部を学習者自身が調整(セルフコントロール)することで、運動学習が促進されることが明らかにされている。しかし、先行研究で使用される運動課題や実験条件が多様であることから、そのメカニズムについては統一した見解が得られていない。そこで本研究では、リハビリテーション領域とスポーツ領域に共通して重要度の高いトレーニングであるバランストレーニングに焦点を当て、①異なる要素のセルフコントロールがバランストレーニングの効果に与える影響の検証、②バランストレーニングにおいてセルフコントロールが効果を発揮するメカニズムの解明を目的としている。本研究により、脳卒中患者や高齢者を対象とした効果的な転倒予防、アスリートのための効果的なバランストレーニングの確立につながる。さらに、セルフコントロールについての体系的な検証を通して、効果的に運動学習を生じさせる手法の解明に貢献できる。 2022年度は外部から与えられるフィードバックの受け取り方をセルフコントロールの対象とした実験を実施した。対象者はフィードバックをどのように受け取るかを自己が決定するセルフコントロール群と予め定められた内容で受け取る対照群に無作為に分けられ、プレテスト、練習試行、ポストテストを実施した。また、内発的動機づけについての測定を実施し、セルフコントロールが内発的動機づけに与える影響を調査した。その結果、セルフコントロール群において高い運動学習効果が認められるとともに、高い内発的動機づけが確認された。これらの結果から、フィードバックのセルフコントロールは運動学習を促進させ、その背景には内発的動機づけの高まりが存在する可能性が示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は研究代表者の所属研究機関の変更もあり、実験準備に時間を要した。しかし、その後は順調に研究計画を進められているため、「おおむね順調に進展している」と判断した。
|
Strategy for Future Research Activity |
2023年度に課題難易度と補助具の有無に対するセルフコントロールの効果を検証するための実験を行い、バランストレーニングにおいて利得の大きいセルフコントロール要素を明らかにする。2024年度には、セルフコントロールが効果を発揮するメカニズムの解明を目的に、内発的動機づけと情報処理の観点から検証を進める。
|
Causes of Carryover |
2022年度は新型コロナウイルス感染症拡大の状況を考慮し、当初参加を予定していた学術集会(国際学会含む)への参加を見送った。そのため、次年度使用額が生じた。その使用計画としては、2023年度の学会参加費および旅費として使用する。 また、本研究課題の研究成果として国際誌への投稿を控えている論文が2件あるが、それぞれの英文校正費および掲載費を今年度中に拠出できなかった。そのため、次年度に英文校正費および掲載費として使用する。
|