2022 Fiscal Year Research-status Report
Empirical research on the spread, expansion, and athlete strengthening of curling in rural areas triggered by the completion of the "year-round facility"
Project/Area Number |
22K17734
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Research Institution | Ikueikan University |
Principal Investigator |
侘美 俊輔 育英館大学, 情報メディア学部, 教授 (80579748)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | カーリング / ニュースポーツ / ミニバレー / カーリング指導方法 / カーリングの普及・拡大 / 総合型地域スポーツクラブ / スポーツとまちづくり / eスポーツ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,北海道稚内市における住民・学校・家庭・地域のカーリングの受容と,「通年型カーリング場」を拠点とした「総合型地域スポーツクラブ」の創設,選手強化へ向けた取り組みについて時系列で捉えることを軸足に,カーリング先進地調査による知見を加え,今後の示唆を得ることである. 22年度は,主に3つの柱で実施した.第1に,戦後北海道で数多く創造された「ニュースポーツ」の「後発性」と,1980年以降に普及,拡大された「カーリング」との文脈的な共通性,類似性の検討である.その中でも筆者は,1972年に北海道大樹町で誕生したミニバレーの普及,拡大の過程に注目した.22年度は,考案者へのインタビュー調査と,普及の一翼を担う「公認審判講習会」における講義録などからミニバレーの普及,拡大の要因を調査し,分析を行った.本調査結果の一部は,研究成果として刊行した. 第2に,稚内市内のカーリング動向調査である.市内のカーリング関係者から協会資料の提供,元協会幹部へのインタビュー調査,eスポーツとカーリングの接続可能性,学校教員向けのカーリング指導方法の検討などを行った.上記の学校教員向けのカーリング指導方法の検討結果,eスポーツとカーリングの接続可能性については,それぞれ研究成果として刊行した.また,2022年10月に誕生したカーリングを核とする総合型地域スポーツクラブ「みどりスポーツクラブわっかない」の時系列での動きを詳細に記録し続けている. 第3に,カーリング関係者との調査交渉である.調査予定地である北見市,名寄市,長野県軽井沢町のカーリング協会関係者との名刺交換を行い,調査への協力を取り付けることができた. 以上のように,本年度はカーリングの普及,拡大の様子を,過去,現在,ニュースポーツという3つの方向性からアプローチすることができ,その一部を研究成果として刊行することができた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
22年度の進捗状況は,「やや遅れている」と言える.22年度の順調な点として,第1にカーリングの普及・拡大を検討する上で参照したミニバレー考案者へのインタビュー調査を実施できた.さらに「公認審判講習会」への参加,考案者の講義録の作成への許可も得られ,検討結果に厚みを持たせることが出来た.第2に,稚内市内のカーリング関係者,総合型地域スポーツクラブの動向調査については順調に実施できている.これら2つの研究テーマについては「順調に推移している」といえる. 一方で,今年度のメインとしていた名寄市のカーリング関係者調査を見送った.その理由は,引き続きコロナ禍の影響を受け対面調査が実施しにくい状況であったこと,インタビュー調査をするまでの趣旨説明,調査のための下準備などに時間を要した点が原因である.調査予定地の名寄市は,稚内市と同一地区である道北ブロックに位置するため,日常的なカーリング大会などで交流のある協会員,関係者が多い.そのため当方の科研費の趣旨説明や,今後の調査への下準備なども整っている.以上のことから,23年度以降に22年度の遅れを挽回することは難しくないものと考えられる.
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度は,主に3つの柱で実施予定である.第1に前年度に引き続き,稚内市内のカーリング関係者,動向,総合型地域スポーツクラブにおける継続調査の実施である.特に総合型地域スポーツクラブは,2023年度から「通年型カーリング場」の指定管理者となったことにより,一層注目に値する調査対象となることが予想される. 第2に,昨年度見送った「名寄市のカーリング関係者調査」である.名寄市は,カーリング以外にも,「スポーツコミッション」の仕掛けを用いたスポーツとまちづくりの先進地でもある.カーリング関係者の中には,上記プロジェクトに関わっている者もいる.このことから,カーリングも含めた地方都市におけるスポーツの普及,拡大,強化の多面的な調査をすることができると予想される. 第3に北見市の調査である.「カーリングのまち」として全国的にも知られるようになった北見市(特に常呂地区)の調査を予定している.北見市常呂地区については,多数の著作,報道資料などが刊行されているが,筆者はカーリングの普及,拡大,選手強化という視角から調査を実施する予定である.
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由として,「人件費」と「旅費」の減少が大きな要因である.「人件費」減少の理由としては,聞き取り調査の結果分析に必須である「文字起こし」の過程において,オンライン上の「自動文字起こしサービス」を活用できためである.これまで多大な労力,時間を必要とした「人件費」であったが,「自動文字起こしサービス」によってある程度の経費を圧縮することができた.また,「旅費」については上記の通り「名寄市のカーリング関係者調査」を見送ったこと,ならびにミニバレー関係の調査の大部分を,稚内市からアクセスしやすい札幌市で行えたことが要因である. 23年度は、名寄市,北見市常呂町などでカーリング関係者への調査を実施するための「旅費」と,文字起こしなどによる「人件費」や,書籍などの「物品費」に使用する予定である.
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