2023 Fiscal Year Research-status Report
「力を抜く」調節メカニズムに関する生理学的・心理学的状態による影響
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22K17751
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
大高 千明 奈良女子大学, 工学系, 専任講師 (00783929)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 力の抜き / 筋動態 / 超音波エラストグラフィ / 筋電図 / 筋出力調節 / 筋stiffness |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、身体の巧みなパフォーマンスに重要となる巧緻性を必要とする「筋出力調節能力(グレーディング能力)」について、特に「力を抜く」調節メカニズムに関する生理学的・心理学的状態による影響を解明することである。バイオメカニクス的手法および生理学的手法である、張力、筋電図、超音波エラストグラフィを用いて統合的な知見を検討する。2023年度は、前年度の結果を踏まえて、筋動態特性、主に筋Stiffnessに及ぼす時間経過の影響について明らかにするために、複数のターゲットレベルにおける等尺性力発揮動作におけるグレーディング課題を用いて検討した。 具体的な実験設定としては、スタートレベル0%からターゲットレベル20、40、60%MVFへのグレーディング課題を用いて、各課題とも発揮した張力を60秒間保持した。張力、筋電図および超音波エラストグラフィの特性について、目標となるターゲットレベル呈示した状態において、時間経過による比較を行った。 筋電図から積分値(integrated EMG:iEMG)、超音波エラストグラフィからは剛性率(shear modulus:SM)を算出し、筋動態を定量化した。 張力およびiEMGの結果から、ターゲットレベルが大きくなるほど、張力および筋活動量が大きくなった。SMの結果から、筋Stiffnessはターゲットレベルによって異なり、個人差が大きい傾向がみられたが、いずれのターゲットレベルにおいても、時間経過による違いはみられないことが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は、筋出力調節能力について、特に「力を抜く」調節メカニズムに関する生理学的・心理学的状態による影響を解明することである。2年目である2023年度は、張力、筋電図、超音波エラストグラフィを指標とし、複数のターゲットレベルにおける等尺性力発揮動作におけるグレーディング課題を用いて、主に筋Stiffnessに及ぼす時間経過の影響について検討した。よって、本年度は概ね計画通りに進めることができたといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
計画通り実験を進めるとともに、実験結果を踏まえて、新たな検討点や課題についても着手する予定である。
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Causes of Carryover |
2023年度にエラストグラフィの解析を行い、その結果を元に学会発表を予定していたが、計画を変更したため、未使用額が生じた。このため、次年度に学会発表を行うこと年、未使用額はその経費に充てることとしたい。
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