2022 Fiscal Year Research-status Report
複数の障害物回避における視覚運動制御に影響する歩行環境および身体要因の検討
Project/Area Number |
22K17762
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Research Institution | Morinomiya University of Medical Sciences |
Principal Investigator |
国宗 翔 森ノ宮医療大学, 総合リハビリテーション学部, 助教 (50848554)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 視覚運動制御 / 高齢者 / 障害物跨ぎ動作 / 転倒 / 環境 / 歩行 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、日常的な環境を想定し、履物や床面、歩行路の幅といった歩行環境の変化が、複数の障害物跨ぎ動作の視覚運動制御に及ぼす影響を明らかにすることである。さらに、認知機能や感覚、移動能力等との関連性を分析することで、視覚運動制御に関連する身体機能を明らかにし、高齢者の転倒予防介入について検討を行う。 本研究の目的を達成するためには単一の障害物を跨ぐ際の視覚運動制御が明確になっている必要がある。したがって、2022年度では本研究の測定項目や実験環境を検討する準備として、下肢の固有感覚障害を有する症例における単一の障害物跨ぎ動作の視覚運動制御を姿勢安定性の観点より明らかにし、関連学会で発表した。内容については以下のとおりである。 対象者は下肢の感覚障害を有する4人の高齢者とした。対象者は液晶シャッターゴーグルおよび3軸加速度計を装着し、歩行中の障害物跨ぎ動作を実施した。視野条件はこれまでの研究と同様、開眼条件、障害物の2歩前で下方視野を遮断する条件、障害物の1歩前で下方視野を遮断する条件とした。各条件における障害物跨ぎ動作時の身体動揺を検討した。その結果、開眼条件に比べその他の条件では身体動揺が変化した。これまでの研究において健常者では、視野条件に関わらず身体動揺は変化しないことが明らかになっている。よって、下肢固有感覚障害により、障害物跨ぎ動作中の姿勢安定性における視覚情報への依存度は変化する可能性が示唆された。 一方、これまで実験方法では実際に対象者がどこを注視しているか明確ではない。したがって、視線が記録できるアイマークレコーダーを購入し、これまでの研究を参考に実験課題の方法、計測環境を調整した。今後は実験環境を確定し、複数の障害物を跨ぐ際の視覚運動制御について、若年者および健常高齢者に対する計測を行っていく。そこで得られた結果を関連学会で発表していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
アイマークレコーダーを用いた計測と解析において、予備実験を繰り返し行い、実験の環境調整に時間を要している。したがって、研究の進捗状況としては「やや遅れている」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、実験の方法および環境を決定し、若年者に対する計測を行う予定である。得られた結果をまとめ、複数の障害物跨ぎ動作の視覚運動制と歩行環境の関連について関連学会で発表し、学術誌へ投稿する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルスの流行により、学外での会議や学会などが中止となったため、旅費が使用されなかった。次年度は社会情勢に応じて、得られたデータをもとに国際学会での発表や学術誌への論文投稿を行う。また、それらに伴い旅費や英文校正費に使用する予定である。
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