2022 Fiscal Year Research-status Report
加齢に伴うミトコンドリアDNA複製の変容と新規老化制御機構の解明
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22K17767
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
松田 盛 東北大学, 加齢医学研究所, 助教 (00884272)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ミトコンドリア / ミトコンドリアDNA / 加齢制御 |
Outline of Annual Research Achievements |
ミトコンドリアの独自のゲノムであるミトコンドリアDNA(mtDNA)は1細胞あたり数千コピー存在し、絶えず自己複製を続ける。mtDNAの変異やコピー数減少はミトコンドリア病といった希少疾患以外に、加齢でも低下が認められており、加齢に伴う個体機能低下の原因の一つとして考えられている。しかし、mtDNA複製機構には不明な点が多く、その全貌解明が生命科学や医学において重要な課題である。我々はmtDNA複製の核心因子であるmtDNAポリメラーゼに結合する新規因子としてTEFMを同定し、さらにTEFMの発現量が加齢で有意に低下することを発見した。そこで 本研究では、TEFMによるmtDNA複製制御ならびに細胞老化への関与の解明を目的として、新たなmtDNA複製機構ならびに加齢制御の確立を目指した。ミトコンドリア機能に重要なミトコンドリア内転写について検証したところ、TEFM欠損細胞では野生型と比較してRNA量が減少していることを見出した。また、TEFM欠損細胞にTEFMを発現させたところ、転写の回復がみられた。老化によるミトコンドリア機能の変化は転写産物の量変化にその一因がある可能性が考えられた。またmtDNAのコピー数においてもTEFM再発現によって回復が観察された。老化した細胞にTEFMを強制発現することによってミトコンドリア機能の活性化が期待できる結果を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
TEFM欠損細胞にTEFMを再発現することで転写産物量の増加やミトコンドリアDNAのコピー数の回復を確認できたことで、TEFMを強制発現することによってミトコンドリア機能の活性化が期待できる結果を得たため。
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Strategy for Future Research Activity |
若齢マウスの肺から単離した線維芽細胞にshRNAベクターでTEFMをノックダウンし 、mtDNAコピー数と複製中間体が低下することを確かめる。その後、細胞老化マーカーであるβガラクトシダーゼ染色やp21の発現量を各継代で検討し、ノックダウン細胞がコントロール細胞と比べ細胞老化が起きやすいかを検証する。高齢マウスの肺から単離した線維芽細胞にTEFM導入し、TEFMを強制発現させ、mtDNAコピー数とmtDNA複製中間体が増加していることを検証する。その後、細胞培養を続け、βガラクトシダーゼ染 色やp21の発現量や細胞の形態を評価することで、TEFMの量的増加が細胞老化を抑制できるかを検証する。
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Causes of Carryover |
実験に使用する試薬が想定より安価に入手できたため、差額が生じた。 今後の研究を推進するために人口遺伝子合成などの利用を計画している。
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