2023 Fiscal Year Research-status Report
末梢代謝組織のリン酸化プロテオミクスより新たな生活習慣病治療ターゲットの探索
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22K17770
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
佐藤 葵 新潟大学, 医学部, 技術職員 (10808752)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | Phos-tag対角線電気泳動 / 生活習慣病 / リン酸化タンパク質 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、生活習慣病に関わる変動可能で機能的なリン酸化部位を明らかにし、新たな治療標的へと発展させるために、(1) 生体試料より得たタンパク質のリン酸化状態をPhos-tag対角線電気泳動法による評価系の確立、(2)生活習慣病の病態形成に関与する機能的なタンパク質のリン酸化状態の同定により、病態の予防・治療法を創出することを目的としている。 本年は前年に生じた問題の解消又は回避方法の検討と、次のステップに進むためのサンプル調整を行った。 ①Phos-tag対角線電気泳動後にPVDF膜へ転写し、抗体による検出の再現性に問題が生じていた。検討を進めたところ、Phos-tag対角線電気泳動後のPVDF膜への転写効率に問題があることがわかり、泳動後のEDTA処理の時間や回数、転写方法及び転写の際に使用するバッファーを最適化することにより改善した。 ②細胞質分画、核分画といったタンパク質の抽出方法の違いにより、通常のSDS-PAGEで見られるシグナあるがPhos-tag SDS-PAGEでは減弱するなど、バンドパターンの乖離に対しては、各分画のタンパク質を抽出後にアセトン沈殿等の濃縮、精製や免疫沈降を行うことで、溶解バッファーをそろえるなどの検討を進めている。 ③生活習慣病の病態形成に関与する機能的なタンパク質のリン酸化状態を同定するために、培養細胞やマウス組織、マウス初代培養細胞よりサンプル調整を進めている。具体的には代謝状態が大きく異なる栄養飢餓やインスリン刺激した培養細胞等からタンパク抽出を行っている。またこれらのサンプルをPhos-tag対角線電気泳動だけでなく質量分析装置による網羅的なリン酸化タンパク質情報を得るために、サンプル調整を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
研究推進センターとしての本務が多忙であり、本研究を進める十分な時間を確保できなかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
令和6年4月1日より所属機関の変更を行い、研究に注力できる環境となった。しかしながら、新規所属でのメインテーマが「細胞内1分子イメージングを用いた遺伝子発現制御の可視化」となり、研究分野が大きく変わり、本研究の遂行が困難になる可能性が考えられる。そこで、ピンチはチャンスととらえて、細胞内1分子イメージングと翻訳に係るタンパク質のリン酸化状態の検討や、インスリン刺激や低栄養状態などの生活習慣病に関連する細胞の状況下での遺伝子発現制御とタンパク質のリン酸化状態を共に検討することで、細胞でのタンパク質の翻訳と翻訳後修飾の一つであるリン酸化といった多次元での解析を行っていく。
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Causes of Carryover |
本務(研究推進センター業務)の多忙により本研究に従事する時間が不足したため、次年度使用額が生じた。 次年度(令和6年4月1日)より所属研究機関及び職が変わり、研究環境が大きく変わっている。研究にエフォートを割ける環境になった。研究設備は充実しているため、Phos-tag対角線電気泳動に必要な試薬や消耗品の購入。「細胞内1分子イメージングを用いた遺伝子発現制御の可視化」のメインエフォートとのコラボレーション実現するために必要な機器や試薬類の購入に使用する。
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