2022 Fiscal Year Research-status Report
高齢者の神経回路再編成を制御する脳内メカニズムの解明と応用基盤の創出
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22K17777
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Research Institution | Aomori University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
渡邊 龍憲 青森県立保健大学, 健康科学部, 准教授 (20868400)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 発揮筋力 / 腹側前頭前野 / 経頭蓋磁気刺激 / 運動学習 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,神経回路再編成を制御する脳内メカニズムを検討し,高齢者や有疾患者の機能回復を促進する新たな介入手段の確立につながる基礎データを構築することを目的としている. 神経回路再編性能が低下している場合,神経可塑性に基づく運動学習が障害されている.本研究では,様々な日常生活動作において重要となる発揮する力を調整する機能に着目して運動学習能力を決定する脳内因子を検討する. 令和4年度は,発揮筋力調整課題の学習能力を検討するうえで着目すべき脳部位を特定するために,発揮筋力調整中の脳部位間の結合性を調査した.実験協力者が発揮筋力調整課題実施中に,経頭蓋磁気刺激の2連発刺激を用いて、運動肢の反対側の一次運動野と運動肢と同側の背外側前頭前野,腹側前頭前野,背側前頭前野,補足運動野,一次運動野の関係性を検討した.その結果,腹側前頭前野が発揮筋力の精確な調整に関わっていることが明らかとなった.具体的には,比較的精度の低い発揮筋力の調整を行う場合,運動肢と同側の腹側前頭前野は,運動肢と反対側の一次運動野に対して興奮性に働いているが,精度の高い調整が求められた場合,この興奮性の出力が減弱することが示された.一方,運動肢と同側の背外側前頭前野,背側前頭前野,補足運動野,一次運動野と運動肢と反対側の一次運動野の結合性は,発揮筋力の精確な調整とは直接的には関係が無かった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和4年度に得られた結果について査読付き雑誌に投稿中である.また,令和5年度の研究の予備検討も始めており順調に進んでいる.
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度に得られた結果を基に,発揮筋力調整の学習に関わる脳内因子を検討する.また,得られた結果について国内外の学会で発表する.
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Causes of Carryover |
COVID-19の拡大により学会がウェブ開催となり学会参加に関わる諸経費がかからなかった. 円安等により論文掲載料が高額化しているため,次年度は,これらの費用に充てると共に積極的に学会等に参加することで自身の研究分野における最新の知見を得る.
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Research Products
(16 results)