2023 Fiscal Year Research-status Report
高齢者の神経回路再編成を制御する脳内メカニズムの解明と応用基盤の創出
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22K17777
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Research Institution | Aomori University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
渡邊 龍憲 青森県立保健大学, 健康科学部, 准教授 (20868400)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 発揮筋力 / 脳波 / 脱同期 / 神経律動 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,神経回路再編成を制御する脳内メカニズムを検討することを目的としている.神経回路再編成能が低下している場合,神経可塑性に基づく運動学習が障害されていることから,本研究では様々な日常生活動作において重要となる発揮する力を調整する機能に着目して運動学習能力を決定する脳内因子を検討する. 昨年度は,発揮筋力調整課題の学習能力を検討するうえで着目すべき脳部位の特定を試みた結果,腹側前頭前野が発揮筋力の調整に寄与することが明らかとなった.一方,背外側前頭前野,背側前頭前野,補足運動野,一次運動野は直接的には関連していなかった.背外側前頭前野は複雑な動作において重要な役割を担うと報告されているため,令和5年度は,背外側前頭前野と発揮筋力調整の関連を再検討した.具体的には,背外側前頭前野が関与するワーキングメモリに負荷をかけ,発揮筋力調整課題実施中の脳波を解析した.ワーキングメモリの負荷量は,一時的に覚える数字の桁数により調整した(1桁 vs. 6桁).また,脳波については,感覚運動野上から記録し,運動時に発現する事象関連脱同期(event-related desynchronization: ERD)を評価した.その結果,ワーキングメモリ負荷は,発揮筋力調整課題のパフォーマンス(発揮筋力のばらつきやエラーなど)に影響を与えなかったが,発揮筋力調整中に感覚運動野で生じるベータ周波数帯のERDを増強することが明らかとなった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和5年度に得られた結果について国際学術誌に投稿準備中である.また,令和6年度の研究の予備検討も行っている.
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Strategy for Future Research Activity |
令和4~5年度に得られた結果をもとに,発揮筋力調整の学習にかかわる脳内因子を検討する.また,得られた結果について国内外の学会,国際学術誌で報告する.
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Causes of Carryover |
学会のウェブ開催等により関連諸経費が発生しなかった.円安等により論文掲載料が高額化しているため,次年度は,これらの費用に充てるとともに,積極的に国際学会等に参加し研究成果を発表する.
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Research Products
(22 results)