2023 Fiscal Year Research-status Report
大腸がんの最新治療薬の「限界」を克服する栄養学的新戦略
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22K17783
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
永野 ひかる 宮崎大学, 地域資源創成学部, 講師 (10748924)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 大腸がん / カテキン |
Outline of Annual Research Achievements |
我が国の大腸がん患者は最新のがん統計によると罹患者数第一位となっており、死亡者数は年々増加し、第二位となっている。非常によく効く分子標的薬(がん細胞だけを狙い撃ちする最新薬)は開発されているが、患者によっては遺伝子変異が存在することでその分子標的薬が効かないことが分かっており、臨床的に分子標的薬不適応とされている。また、初めは遺伝子変異を保有していなかったとしても治療開始後1~3ヶ月で多くの患者に遺伝子変異が出現する。つまり、大腸がん患者の多くでよく効く分子標的薬が使用できず、大腸がん患者数および死亡者数の増加の原因であると考えられる。しかしながら、その遺伝子変異を持つ責任因子に対する治療薬は未だ効果的なものはほとんど開発できておらず、現時点で大腸がん治療薬開発の「限界」と考えられている。 本研究ではこれまでの創薬アプローチから視点を転換し、栄養学的アプローチによって大腸がん治療薬の「限界」の克服を目指す。具体的には食品機能成分であるカテキン類を用いて複合的な阻害様式を明らかにする。 2023年度は無細胞実験系にて責任因子の活性を抑制するカテキン類を同定した。また、責任因子の遺伝子変異をもつ大腸がん細胞株および大腸がんに対する分子標的薬を長期的に処理することで樹立したモデル細胞に対するカテキン類の抗腫瘍効果の検討を行った。その結果、それぞれの変異型に結合するカテキン類を同定したが、無細胞系の実験の結果とは異なり、活性を抑制しない場合があることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2022年度の研究代表者の所属機関変更による研究開始遅延により、当初予定していた実験を終了できていないため。
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Strategy for Future Research Activity |
無細胞実験系と細胞実験系での結果の違いについて、実験条件の見直しを行い、細胞実験系での実験を行う。また、抗腫瘍効果の検討を行う予定である。
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Causes of Carryover |
研究遂行に想定以上の時間を要したため。2024年度は細胞系での実験及び抗腫瘍効果の検討を行うため、消耗品の支出および情報収集、研究報告のための旅費で支出予定である。
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