2022 Fiscal Year Research-status Report
The migration of dietary epoxy fatty acid isomers in the body
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22K17795
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Research Institution | Fukushima University |
Principal Investigator |
吉永 和明 福島大学, 食農学類, 准教授 (40724802)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | エポキシ脂肪酸 / 安定同位体 / 体内動態 |
Outline of Annual Research Achievements |
エポキシ脂肪酸は、不飽和脂肪酸の二重結合がエポキシ化された酸化生成物であり、植物油や油脂調理食品など様々な食品に含まれる。一般に、エポキシ構造を持つ化合物は、DNAやタンパク質などの生体分子との反応性が高いことから、エポキシ脂肪酸が生体に及ぼす影響(遺伝毒性や細胞障害など)が懸念されている。しかしながら、食事から摂取されたエポキシ脂肪酸が、どのように各種臓器・組織へ移行し、代謝されていくのかというエポキシ脂肪酸の体内動態に関する基礎的な知見は存在しない。さらに、エポキシ脂肪酸には構造の異なる様々な異性体が存在する。例えば、食品中の主要なエポキシ脂肪酸は、モノエポキシステアリン酸(MESA)であり、これらの構造体は、cis型とtrans型の2種の異性体(cis-MESA、trans-MESA)から構成される。しかし、これらエポキシ脂肪酸異性体の体内動態を精査した研究は存在せず、どのエポキシ脂肪酸異性体が生体に悪影響を及ぼすのかについては不明である。そこで本研究では、食品に含まれる主要なエポキシ脂肪酸異性体の体内動態を解明するため、安定定同位体ラベル化エポキシ脂肪酸(cis-MESA、trans-MESA)を合成し、マウスへ投与する。その後、各臓器・組織中のエポキシ脂肪酸異性体を各種質量分析計(GC-MS/MS、MALDI-MSイメージング)で測定することで、エポキシ脂肪酸異性体の体内動態を明らかにする。 2022年度は、安定同位体ラベル化エポキシ脂肪酸異性体の有機合成を行った。その結果、食品中に含まれる主要なエポキシ脂肪酸異性体であるcis-MESA、trans-MESAの安定同位体ラベル化物と、コントロールとしてオレイン酸(cis-9-18:1)の安定同位体ラベル化物を得た。合成した安定同位体ラベル化脂肪酸は、GC-MSを用いて分析し、95%以上の化学純度であることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
順調に安定同位体ラベル化脂肪酸の合成が完了し、動物試験の準備を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度は、安定同位体ラベル化物の合成が完了した。2023年度は、合成した試料を用いて、動物試験を実施する。その後、ガスクロマトグラフィー質量分析計、イメージング質量分析計にて、エポキシ脂肪酸の体内動態を調べる予定である。
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Causes of Carryover |
安定同位体ラベル化脂肪酸の合成法を改善し、試薬の購入金額の削減に繋がった。余剰金は、2023年に使用する合成試薬や動物試験、分析に使用するための消耗品等に充てる予定である。
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