2023 Fiscal Year Annual Research Report
ダイレクトリプログラミングによる脳梗塞モデルマウスの海馬神経細胞と認知機能の再生
Project/Area Number |
22K17799
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
福井 裕介 岡山大学, 大学病院, 助教 (60824802)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ダイレクトリプログラミング / 脳梗塞モデルマウス / 神経細胞新生 |
Outline of Annual Research Achievements |
RNA結合タンパク質であるpolypyrimidine tract-binding protein 1(Ptbp1)は、神経細胞特異的スプライシングを抑制し、非神経細胞では高レベルで発現するが、神経細胞ではダウンレギュレーションされることが報告されている。これまでの研究でPtbp1の発現を抑制すると、非神経細胞では多くの神経系細胞特異的遺伝子の発現が確認され、神経系細胞へのリプログラミングが誘導されることが確認されている。本研究では、アストロサイト特異的にPtbp1 mRNAをノックダウン(KD)するアデノ随伴ウイルスベクター(AAV)を尾静脈投与し、脳梗塞後に認知機能低下を呈するマウスにおいてその治療効果を検討した。 8週齢C57BL/6Jマウスに一過性中大脳動脈塞栓術によって脳梗塞を作成し、術後3日目に血液脳関門を通過し脳内感染が可能なカプシドでパッケージングした AAV-pGFAP-CasRx-SgRNA-Ptbp1またはそのコントロールベクターを尾静脈投与した。脳梗塞作成後より神経症状の評価のためにBederson’s test, Rotarod testを週1回行い、 認知機能評価のためにNovel object recognition test(NORT)を4,8週目に行った。8週間後に灌流固定し、梗塞体積 (Nissl染色)及びmCherry陽性成熟神経細胞(NeuN)に群間差が見られるかどうか評価した。 8週目のNORTにおいて、Ptbp1KD群では新奇物体に対する接触時間の有意な延長を認め、認知機能の改善が見られた。また、海馬mCherry陽性細胞で、mCherry/NeuN二重陽性ニューロン様細胞が確認された。この海馬における新しい神経系細胞は神経回路のより多くの構築に寄与することで認知機能の改善につながると考えられた。
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