2023 Fiscal Year Research-status Report
新規のインスリン抵抗性増悪因子URAT1の病態生理学的意義の解明
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22K17813
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
田中 祥朗 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助教 (80908335)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | URAT1 / インスリン抵抗性 / 高尿酸血症 / 慢性炎症 |
Outline of Annual Research Achievements |
近位尿細管に発現している尿酸トランスポーターURAT1が肝臓や脂肪組織に発現しておりメタボリックシンドロームの際にインスリン抵抗性に関っている事を報告した(Tanaka Y Mol Metab 2022).更に,URAT1はマウスの心臓組織に発現している事が免疫染色,ウエスタンブロットで明らかになった.高脂肪食を投与したマウスの心臓組織では線維化が亢進しており,炎症性サイトカインの発現が亢進しているがURAT1選択的阻害薬であるドチヌラドを投与すると有意に改善が認められた. 更に,仔ラットの心筋培養細胞を用いて検討したところ,仔ラットの心筋培養細胞においてもURAT1の発現を認めたており,siRNAを用いてURAT1をknock downするとURAT1の発現が減少している事が確認された.また,高尿酸濃度(15mg/dl)の培地では1時間後に心筋細胞内の尿酸含有量の有意な上昇を認めたが,ドチヌラドを投与すると心筋細胞内の尿酸含有量は減少していた.心筋細胞のURAT1の発現を制御する因子を検討したところ飽和脂肪酸であるパルミチン酸が心筋細胞のURAT1の発現を上昇させている事が明らかになった.パルミチン酸投与によりMAPKのリン酸化を介する事により炎症やアポトーシスなどのシグナルが亢進したが,ドチヌラドを投与する事によりこれらのシグナルが有意に減少していた.URAT1は心筋細胞に発現しており,URAT1選択的阻害薬はメタボリックシンドロームに合併する心筋傷害を緩和する事が示された. 今後は,メタボリックシンドローム下でパルミチン酸がURAT1の発現を制御するメカニズムの解明や他の脂肪酸の影響に関しても検討していく予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り,URAT1のメタボリックシンドローム下での病態生理学的意義を肝臓,脂肪,心臓組織等で明らかにする事が出来ているため.
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Strategy for Future Research Activity |
心筋細胞において,飽和脂肪酸であるパルミチン酸がURAT1発現を増加させるかどうかの機序に介して解明していく.また,他の飽和脂肪酸や不飽和脂肪酸投与により発現がどう変化するかについて検討していく.
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Causes of Carryover |
臨床業務が忙しく,研究に充てられる時間が十分に取れなかったため差額が生じた.次年度では,計画的に使用できるように工夫していく.
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Research Products
(7 results)