2022 Fiscal Year Research-status Report
脂肪細胞のヘム代謝の変動がミトコンドリア機能に及ぼす影響の解明
Project/Area Number |
22K17817
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
伊美 友紀子 静岡県立大学, 食品栄養科学部, 助教 (60823979)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ニコチンアミドモノヌクレオチド / 脂肪細胞 / エネルギー代謝 |
Outline of Annual Research Achievements |
白色脂肪組織は全身のエネルギー代謝を調節する需要な器官である。ミトコンドリアはエネルギー産生に重要な細胞内小器官であり、加齢や糖尿病、肥満など種々の要因でその機能が低下する。白色脂肪組織・細胞においても、ミトコンドリア機能障害によりインスリン抵抗性や炎症応答が惹起されることが近年報告されているが、脂質代謝との関連は不明である。また、鉄とポルフィリンの錯体であるヘムはミトコンドリア機能に必須の因子である。加齢等によるヘム合成能の低下は、ミトコンドリア機能の低下や鉄蓄積を引き起こす。本研究では脂肪組織のミトコンドリア機能とヘム合成能および脂肪分解の関連について明らかにすることで、加齢による種々の機能障害や生活習慣病の病態の新たなメカニズムを解明することを目的とした。本年度は培養脂肪細胞をもちいて、脂肪細胞におけるミトコンドリア機能と脂質代謝の関連を検討した。ニコチンアミドモノヌクレオチド(NMN)刺激により、3T3-L1細胞中においてミトコンドリア量の増加と脂肪蓄積の減少がみられた。遺伝子発現解析の結果、脂肪蓄積量の減少は脂肪合成の抑制ではなく脂肪分解の亢進によるものあることが確認された。さらにこの脂肪分解の亢進は脂肪分解酵素ATGLの発現上昇によるものであること、NMN刺激によるATGLの発現調節経路を明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究環境の変更により、実験の立ち上げに時間を要したため。
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Strategy for Future Research Activity |
脂肪細胞におけるヘム生合成と脂質代謝、ミトコンドリア機能の関連について引き続き3T3-L1細胞を用いて検討する。必要に応じて肥満や糖尿病、加齢モデル動物の脂肪組織を用い、関連遺伝子の発現量を確認する。
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