2022 Fiscal Year Research-status Report
団塊世代を認知症から救う認知機能低下の変曲点の探索
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22K17819
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
尹 之恩 筑波大学, 体育系, 助教 (60813277)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 認知機能 / 変曲点 / アルツハイマー型認知症 / アミロイドベータ / 高齢者 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の学術的な「問い」である“高齢者の血液中アミロイドベータを継続的にモニタリングすることによってアルツハイマー型認知症発症のリスクを事前に予知できる「変曲点」の探索が可能なのか、またこの手法からアルツハイマー型認知症発症率の軽減に役立つのか”を検証することが目的である。そのため、認知症の発症リスクが高い70歳以上の高齢者を対象に、認知機能や身体機能、さらにアルツハイマー型認知症の血液中バイオマーカーを用いて、その変化についての大規模モニタリング調査を実施している。2019年度に実施したT市の「認知・体力測定会」に参加した高齢者から本研究の対象者を募集したところ、32名が応募した。その中、参加条件に満たない1名を除外したため本研究の対象者は31名であった(平均年齢77.1±4.6)。 実施した評価項目は下記のとおりである。 ①認知機能:ファイブ・コグテスト ②身体機能:筋力(握力、5回椅子立ち上がりテスト)、歩行能力(5 m通常歩行速度)、バランス能力(開眼片足立ち)、下肢機能(立ち上がり動作時の地面反力) ③アルツハイマー型認知症の血液中バイオマーカー:血液中のアミロイドベータ1-40及び1-42 ベースライン(2019年度)から3年後(2022年度)の認知・身体機能の変化を分析した結果、身体機能では、バランス能力、および、歩行能力、認知機能では視空間認知機能、言語能力、および、総合的認知機能が有意に低下した。一方、血液中アミロイドベータには有意な変化が見られなかった。なお、総合的認知機能と“Trail Making Peg”テストおよびバランス能力(開眼片足立ち)の間に中程度の相関が見られた。今後サンプルサイズを増やすことで結果は変わる可能性がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2019年度の調査に参加した高齢者のうち、新型コロナウィルスの影響により社会活動が制限された高齢者が多く、2022年度の被験者募集が厳しかったため、初年度の分析対象者が少なかった経緯がある。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度上半期から、「新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針」が廃止されるため、2023年度から被験者の増加が予想される。データ収集と共に分析を同時に行い、血液中アミロイベータと認知・身体機能の「変曲点」を常に探索する。
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Causes of Carryover |
2022年度は新型コロナウィルスの影響のため、被験者数が軽減した。しかし、次年度は被験者増加の見込みが予定されているためその経費として使用する。
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Research Products
(3 results)