2023 Fiscal Year Research-status Report
団塊世代を認知症から救う認知機能低下の変曲点の探索
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22K17819
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
尹 之恩 筑波大学, 体育系, 助教 (60813277)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 認知機能 / 変曲点 / アルツハイマー型認知症 / 認知症バイオマーカー / アミロイドベータ / 高齢者 |
Outline of Annual Research Achievements |
T市在住の高齢者を対象に、2019年の「認知・体力測定会」にて測定した結果をベースラインとし、その4年後になる2023年3月に追跡調査を実施した。2019年、2022年、2023年に実施した3回の「認知・体力測定会」にすべて参加した者は22名(平均年齢77.5歳±4.6;男性:7.3%(6名)、女性:72.3%(16名))であった。2019年と2023年のバイオマーカー検査結果で認知症発症リスクが高くなった者、変化がなかった者、低くなった者のベースライン(2019年度)の心身機能や身体活動を分析した。その結果、統計的な有意差はないが、低くなった者>変化がなかった者>高くなった者の順で、握力(筋力)や余暇活動(身体活動)に高い傾向がみられた。また、老年期の抑うつを評価するGeriatric Depression Scaleは低くなった者<変化がなかった者<高くなった者の順で点数が低かった(点数が低いほど良い)。さらに、開眼片足立ち時間(バランス能力)、立ち上がり動作時の地面反力(下肢機能)は、低くなった者>高くなった者>変化がなかった者、5 m通常歩行速度(歩行能力)は低くなった者<高くなった者<変化がなかった者の順で、いずれの項目においても認知症発症リスクが低くなった者のベースラインの値が良い傾向がみられた。現在、4年間の認知症発症リスクの変化と心身機能の変化に対する関係の解明を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2019年度をベースラインとして、2022年度、2023年の追跡調査が順調に進行されている。一方、新型コロナウイルス感染症の発生により2020年度と2021年度の追跡調査は実施できなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度は、5年目の追跡調査とともにデータセットの構築を完了し、認知症発症リスクの変化と心身機能の変化の関係を解明するため多変量解析を行う。さらに、認知機能と心身機能の「変曲点」を探索する。 また、本研究課題の最終年となり、研究成果発表により、社会還元・実装に努める。
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Causes of Carryover |
予定していた学会参加ができなくなったため、その分の旅費がかからなくなったことで、次年度使用額が生じた。改めて、旅費として使用する計画である。
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