2022 Fiscal Year Research-status Report
Optimizing cost-benefit of health policy for cardiovascular disease and dementia, and screening system for mild cognitive impairment
Project/Area Number |
22K17821
|
Research Institution | National Cardiovascular Center Research Institute |
Principal Investigator |
尾形 宗士郎 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 研究所, 室長 (00805012)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | 循環器病 / 将来予測 / 予測モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
循環器病死亡は日本の死因の24.8%を占め、高齢化の影響で今後も増加すると言われている。循環器病の治療は多大な医療費を要するため、循環器病死亡の将来動向を可能な限り正確に推定することは、医療政策立案に重要である。高精度な死亡予測には、循環器病死亡数の長期動向に影響する年齢・時代・世代の効果を考慮可能なBayesian age-period-cohort (BPAC)モデルが有用と、先行研究で報告されている。また、本邦の循環器病死亡数は47都道府県間で差があることが報告されており、この地域差を考慮してBAPCモデルを作成する必要がある。しかしながら、そのような試みは実施されていなかった。 日本在住の30歳以上の男女を対象に、政府統計と国立社会保障・人口問題研究所の公開データとBAPCモデルを活用し、冠動脈疾患と脳卒中の将来死亡数を予測するモデルを開発した。従来モデルと比較して、本研究で開発したモデルは予測精度が高いことが示された。2020年から2040年の全国レベルの予測死亡数は冠動脈疾患において男性で39,600(95%信用区間: 32,200 to 47,900)から36,200 (21,500 to 58,900) と微減、女性で27,400 (22,000 to 34,000)から 23,600 (12,700 to 43,800)と減少、脳卒中において男性で 50,400 (95%信用区間:41,900-60,200)から40,800 (25,200-67,800)と減少 、女性で52,200(43,100-62,800) から47,400 (26,800-87,200)と微減であった。 本結果は、都道府県毎の最適な循環器病死亡数減少のマイルストーン設計に役立つと考える。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
冠動脈疾患と脳卒中の死亡数に対する将来動向予測モデルを、47都道府県毎、男女毎、年代毎、年齢層毎に開発した。その精度は十分に高いことを確認できた。これらの結果をもとに、国際誌(Kiyoshige, Ogata, et al. The Lancet Regional Health -Western Pacific. 2022)を発表できた。認知機能低下とフレイルに対する予測モデルを構築するための観測データも収集が完了した。認知機能とフレイルのアセスメントをうけた者約1800名のデータとなっている。
|
Strategy for Future Research Activity |
認知機能低下とフレイルに対する予測モデル開発していく。特に、多変量の予測変数を柔軟にあつかえる機械学習モデルを活用する予定である。認知機能とフレイルのアセスメントをうけた者約1800名のデータを収集したため、外的妥当性のある予測モデルを構築できると期待している。 また、2022年度で作成した循環器病死亡数の将来動向予測結果を現状維持シナリオのときの将来死亡数とし、その死亡数を減少させるための方策を創出するmicrosimulation modelを作成していく。つまり、どのような循環器病対策の介入をすれば、循環器病死亡数を効果的に減少することができるのかを検討する。現在、英国のUniversity of Liverpoolで共同研究を進め、当microsimulation modelの基盤を構築している最中である。
|
Causes of Carryover |
翌年度に予算を繰越す理由は下記通りである。英国への出張を2回予定していたが、そのうち1回の日程が、論文査読対応と新型コロナウイルス感染症の流行波の時期と重なってしまい、出張ができなかった。そのため来年度以降に出張を繰越すこととした。 また、データ収集についても既存データの活用により、研究目的を達成できる見込みがついたため、予算をおさえることができた。一方で、The University of Liverpoolに対して、simulation model使用に係るライセンス料金等を支払う必要が生じる。そのデータ収集に使用する予定だった予算を、ライセンス料均等支払いに、来年度以降に充てる予定である。
|
Research Products
(6 results)